再結成ライブは昔にタイムスリップしたみたいだった――成田昭次が仲間たちと実現させた「男闘呼組」復活
「Youはギターだよ!」
自分は本当に人に恵まれている、と成田は言う。すべてのスタートとなった、ジャニー氏との出会いがそもそもそうだった。 「僕が少しギターを弾けると知ったジャニーさんが、『ギター弾けるならやったほうがいいよ! じゃあドラムとベースを探さないとね!』と動いてくれたんです。ベースをやるつもりでいたのですが、ジャニーさんが『Youはギターだよ!』って(笑)。練習スタジオに行き、そこで会ったのが当初はドラム担当だった和也でした。和也が中3で、僕が高1だったかな?」 それにしても、子どもの興味や「やりたい」という気持ちを汲み取り、即座に形にするジャニー氏はすごい。 「ジャニーさんは4人の長所も短所も把握したうえで、それぞれのキャラクターを最大限に生かせるバンド、男闘呼組を結成してくれた。タイプは違うけど、追求しだすととことんのめり込む4人。この4人を集めたジャニーさんは、本当に僕らのことをわかっていたんだと思います」
今日持参した美しいグレッチのギターは、亡き兄の形見なのだという。 「再び音楽をやるにあたり、力を貸してもらおうと思って。ずっと手入れだけはしていました。兄貴が乗り移っているのがわかるんですよ。今、喜んでるなって。音もめっちゃいいですしね。ライブでは、このギターと仲本工事さんから譲り受けたギブソンES-335をメインで使っています」 成田は、仲本が経営していた目黒の店で交友を深め、ギターについて語り合ってきた。 「手入れが良くて、すごく古いギターなんですけど、すごく愛情を込められてきたなっていうのがわかるんですね。仲本さん、だて眼鏡じゃないですか。その奥の目と同じで、本当に優しい方なんですよね。ギターを最初見せてくれたときも、すごく丁寧に教えてくれて、優しさに包まれてるような方でしたね」 振り返れば、怒涛の2年間だった。 「2年前は僕、まだ名古屋にいましたからね。当時の自分に『2年後、東京で音楽やってるよ』と言っても、絶対に信じないでしょう。それもこれも健一をはじめ、男闘呼組のメンバーが諦めずにいてくれたおかげ。3人はいつも前向きなんです。無理だと思うことでも、そこに1ミリでも可能性があるなら実現に向けてやってみる。見習わなくてはと思っています」 男闘呼組の活動は、来年8月までの期間限定。メンバーとは「トークもありつつのアコースティックライブができたらいいね」と話している。 「男闘呼組も成田商事も、うそ偽りなく、隠すことなく、全身全霊で音楽を表現していきたいと思っています。末永く、応援していただければありがたいです」
成田昭次(なりた・しょうじ) 1968年8月1日、愛知県名古屋市生まれ。1988年に、ジャニーズ事務所の本格派ロックバンド 「男闘呼組」のボーカル&リードギターとしてシングル『DAY BREAK』でデビュー。1993年からソロ活動。2004年ソロとしてのファーストシングル 『ボクノスベテダッタノニ』を発表し、同年夏にはアルバム『Free Way』をリリース。2009年のアルバム『PARALLEL WORLD』を最後に、音楽活動を休止。2020年の秋、11年ぶりに音楽活動を再開する。2022年、期間限定で「男闘呼組」を再始動、そして自身のバンド「成田商事」を結成。