自信を失う“ほめ方”とは...多くの人がやっている、実績だけ見た自己評価
自分に言葉のごほうびを
【K】谷本さんも自分をほめることってあるんですか? 【谷本】もちろんです。これまでの人生、どれだけ自分をほめてきたことか。小さなこと、ささいなことでも、すぐに自分をほめますよ(笑)。 【K】たとえば、どんなことで? 【谷本】「朝、ちゃんと起きられた」とか「晩ごはんをおいしくつくれた」とか「今日は気分よく一日をすごせた」とか、ですね。 【K】失礼ですが、本当に小さなことですね(笑)。 【谷本】はい(笑)。それくらいのことでいいんです。 【K】ほかには、どんなことで自分をほめてきましたか? 【谷本】私はシングルマザーで、働きながら三人の子育てをしてきました。それはもう大変な毎日でしたが、ふとしたときに「いつのまにか、こんなに子どもが大きくなっている。私、子育てがんばっているよ」とか「もう卒業式か。なんとかここまでやってこられた。すごいよ、私」みたいに、一人でつぶやいていましたね。 【K】やっぱり過程に目を向けるんですね。 【谷本】そうですね。いろいろな事情を抱えながら、なんとかここまで生きのびてきた過程に目を向けると、「自分も捨てたもんじゃないな」と思えるんですよね。自分をほめるって最初は恥ずかしいかもしれませんが、自分に何度も言葉をかけるうちに慣れてきて、そのうち習慣になります。「がんばった自分へのごほうび」なんてよく言いますが、物だけでなく、言葉のごほうびもおすすめですよ。 【K】ごほうびは大好きなので、やってみようかな......。 【谷本惠美(たにもと えみ)】 1962年、大阪府生まれ。1991年、カウンセリングルーム「おーぷんざはーと」を設立。カウンセラーとして33年、スクールカウンセラーとして18年の経験がある。得意分野は、家族・子育て・職場の問題。特に、モラルハラスメント問題に力を入れて取り組み、理解を深める活動や被害者支援にたずさわる。著書に『カウンセラーが語るモラルハラスメント』(晶文社)などがある。
谷本惠美(一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー)