大阪府内全勝も野党で「独り負け」の維新、来年は「大阪都構想」の行方に注目
10月の衆院選で、大阪府内19小選挙区は日本維新の会が全勝したが全国的には低調で、来年は維新が誘致を主導した大阪・関西万博があり、看板政策「大阪都構想」を巡る動きも活発化するとみられる。府内で完敗に終わった自民党や公明党などと共に巻き返しに躍起だ。来夏には参院選も控え、府内の政治状況は混沌としている。(岡田優香)
「野党の中で『独り負け』のような結果。大阪から一歩外に出れば期待値がなく、大阪以外で自民批判の受け皿になれなかった」 衆院選の結果を受け、共同代表(当時)の吉村洋文氏(府知事)は険しい表情で語った。 維新は今回、府内でこれまで公明が議席を持っていた4選挙区に初めて対抗馬を擁立。全19小選挙区を制し、底力を示した。
しかし、全国では公示前勢力から6減の38議席、比例票も前回選から約300万票減の約510万票に落ち込んだ。背景に、「政治とカネ」の問題で自民の政治資金規正法改正案に衆院で同調したことへの批判などがあるとみられる。 衆院選の責任を取る形で馬場伸幸衆院議員が代表を退き、12月の代表選で吉村氏が新代表に就任。結党から10年以上たち、「改革政党」の立ち位置が揺らいでいるとの危機感もあり、吉村氏は「永田町の古い価値観をぶっ壊す」として「(他党議員らとの)会食は原則1人5000円」などの案を打ち出し、新執行部に40歳代の若手を積極起用するなど刷新感をアピールしている。
注目は、看板政策「大阪都構想」の行方だ。吉村氏は11月、維新内部で再検討する方針を表明。今月、プロジェクトチームを作り、議論を始めた。ただ、都構想は過去2度、住民投票で否決され、吉村氏も3度目の挑戦は否定してきた。他党は「とんでもない話だ」(公明市議)などと反発を強めている。
■与党壊滅状態
政権与党の自民、公明には、厳しい1年となった。 衆院選前に、両党で「大阪刷新会議」を設け、共通政策を発表。「対維新」での結束をアピールし、選挙期間中も大物議員を投入したが及ばなかった。