「早くトンネルを抜け出したい」7か月不発のキ―ル町野修斗は昇格争いの起爆剤になれるか。周囲の環境にも言及「いい人ばかりで助かっています」【現地発】
「時々孤独を感じてしまったり...」
本人はドイツサッカー、そしてドイツでの生活への順応と向き合っている段階だと明かしている。キールの地元紙『キーラーナッハリヒテン』の取材に次のように正直な告白をしていた。 「ドイツ語は一生懸命勉強してますけど、まだまだ助けが必要ですね。周りのことがこれまでと全く違う中で、あまり多くの人と話すことができない。時々孤独を感じてしまったり、メンタル的に穴に落ち込んでしまったと感じてしまったこともあります」 今の時代、スマホですぐに誰とでもコンタクトを取れるという側面はあるが、それだけですべての問題が解決するわけではない。人間同士現場でのコミュニケーションが円滑であればあるほど、気持ちを解放して取り組める。結果が出ているときはさほど問題にならないことも、思うようにいかないときは心に大きくのしかかってしまう。 日本代表の仲間と情報交換をし、経験者の話を参考にしている。だが最後のところで取り組まなければならないのは自分自身。そんな町野にとって冬に一時帰国できたのは大きなリフレッシュになったようだ。 「僕にとってはとてもよかったし、自分を取り戻して、新しい力を蓄えることができた」 クラブも町野がはやく順応できるようにとサポートをしている。ラップ監督やコーチ陣は説明に時間を取り、町野がわからないときはゆっくりと何度も説明し直してくれたりするそうだ。 「いや本当みんな人としていい人ばかりで助かっています。監督やコーチとかにも恵まれている。この機会をしっかりつかみたいです」 20節マグデブルク戦後に町野はそう語っていた。この試合では前線で身体を張り、ヘディングで起点となり、サイドに流れてパスを呼び込み、守備では連続してプレスに走りとチームに貢献していたが、一方攻撃では相手のアグレッシブなプレーに押され、前線で孤立するシーンが続き、シュートはゼロ。 「シュートを打てなかった。打ちたかったですけど。守備の面とか競り合いのところでタスクは最低限できましたけど、何よりずっと点が取れてない。早くこのトンネルを抜け出したいですね」 手ごたえと課題を積み重ねながら、また次へと顔をあげて取り組んでいく。時間はかかるかもしれない。でもいつか必ずきっかけをつかむことができるはずだ。そして1部昇格への起爆剤となってほしいものだ。 取材・文●中野吉之伴