家庭で育ててこそのお楽しみ、希少なデザート野菜「ペピーノ」
ナス科のペピーノ。メロンに似た味と甘み、マンゴーのような食感の果実ですが、市場に出回ることの少ない希少なデザート野菜です。育てるのも、食べるのも珍しい"レアな野菜"を探訪する連載「レアベジ探訪!プロに聞く」。第15回は、東京農業大学でペピーノの栽培研究中の現場を訪ねます。『やさいの時間』8・9月号から、一部を抜粋してお届け。 みんなのペピーノ栽培の写真
メロンのような味わいの幻の果実
ペピーノは、南米原産のナス科野菜。メロンに似た味とさわやかな甘み、マンゴーのような食感があり、南米では生で食されています。 日本には1980年過ぎに入ってきましたが、いまだに栽培数も、販売数も少ない幻の果実になっています。 そんなペピーノを研究・栽培しているのが東京農業大学の髙畑健教授です。18年ほど前に実家の近くにあるホームセンターでたまたま苗を発見。栽培や研究が下火であることから興味をもち、以来、神奈川県厚木市にある大学内のハウスでペピーノを栽培し、普及への道を探っています。 「文献などには甘くておいしいと書いてあるのですが、実際に育ててみると味が薄く、どうやったら甘くなるのか試行錯誤を重ねました。そこで注目したのが、大学の恩師が見いだした、高糖度トマトの栽培方法です。トマトの茎に針金を巻きつけて、地上部で作られた光合成生産物が根へ流れるのを阻害。果実への水分流入を抑え、濃縮したトマトにする。この方法を同じナス科のペピーノに応用できないかと考えました」 8・9月号では髙畑教授が考案した栽培法についてさらにお話を伺いました。
家庭でこそ育ててみたいデザート野菜
「ペピーノは非常に丈夫で、病害の心配も少ない。また、市場で売られることがまだまだ希少なデザート野菜なので、家庭で育ててこそのお楽しみです」と髙畑教授。今後は農大ブランドを目指すだけでなく、地元のJAなどとも商品化を企画、厚木市のブランド野菜としても育てていきたいとのこと。 誌面では髙畑教授監修のもと、甘くて充実した果実を家庭で育てる方法も紹介しています。 お話を伺った人/髙畑 健 (たかはた・けん) 東京農業大学農学部教授。ペピーノの栽培法の確立、品種の育成から加工品の開発、流通、農地形成に至る幅広い分野で、現在の日本におけるペピーノ研究をけん引する。 ●『やさいの時間』2024年8・9月号「レアベジ探訪!プロに聞く」より