ペーパー型入試は超公平、大学「年内入試」の盲点 学校推薦型・総合型選抜の合格者が半数超に
大学入学のため涙ぐましいまでの努力をする親
もちろん、多くの学生は、さすがにコネや財力では入学できず、ユニークな経験を売りにして、大学に入学する。そのために、親は涙ぐましいまでの努力をする。 車社会のアメリカでは、さまざまな活動の送迎は親の役目である。ボランティアをするのも、もちろん入試のためである。あとはスポーツ。できれば夏と冬とで違うスポーツをしているのがよい。日本のように「勉強ばかりをしているもやしっ子(死語だろうか)」の評価は低い。 あとは一芸を秀でさせるために、例えば日本に縁のある人であれば日本語を、バイオリンを、フルートを、ピアノをとさまざまなお稽古事を行う。これだけやっても「普通」である。 親は、子どもを大学に売り込むために、どのように子どものプロフィールをきらびやかに見せるかを考えて、それこそ小学校に入学する前から「仕込み」をする。高校の夏休みの宿題ですら、評価の対象となり成績に関係するため、家族総出でチェックをし、さらに塾の先生にも見てもらい、完成度を高めているという話も聞いたばかりである。 こうした入試のための涙ぐましい戦略についての話は、よく流れてくる。ある大学教員は、子どもの歯並びを矯正させ、怠惰な人間だと思われないようにダイエットさせるため、冷蔵庫に鍵をかけて間食を禁止したという。 またある親は、両親とも日本語話者ではあるが、父親が南米の日系人であるため、子どもは南米に住んだこともないし、スペイン語も話せないが、人種を「ラテン」にしているという。アメリカではアジア人は過剰であり、それに比べてラテン系やアフリカ系は、入試においては格段に有利だからである。 2004年の研究だが、1600点満点のSATに対する人種等の影響は、アフリカ系で230点、ヒスパニック系で185点の加点、アジア人では50点の減点だったという。アジア系とヒスパニック系との差は235点もある。これだけを見るとアフリカ系が突出して有利に見えるが、レガシー入試の影響は160点もあり、それのほとんどが白人であることを考慮すると、相殺されてしまう。 またスポーツ選手の加点が200点あるが、アフリカ系の場合は人種の230点と組み合わせた場合、合計から100点ほどの減点になるそうだ。実際にトップスクールにまでたどり着くアフリカ系の学生数は非常に少ない。むしろ際立つのは、アジア系の不利である※2。 またこれはドラマの話で事実ではないが、キラキラしたSNSのインフルエンサーである女子は、有名大学による争奪戦になっていた。なぜなら入学してくれれば、無料で広報をしてくれることになるからである。あり得ることではないか、とすら思わされる。 ※2 Espenshade, Thomas J.; Chung, Chang Y.; Walling, Joan L. , 2004,Admission preferences for minority students, athletes, and legacies at elite universities. December 2004, Social Science Quarterly. 85 (5): 1422–1446.