お金はここまで人を変える 闇組織とも戦う主婦・安達祐実、NHK「3000万」に主演
12歳の時に主演した連続ドラマ「家なき子」(平成6年、日本テレビ)は、社会現象になった代表作だ。当時から演技力は折り紙付き。そんな彼女でも「才能ないかも、ここまでが限界かな」と悩んだ時期があったという。だが、時を経て、「作品と自由に向き合えるようになってきて、どんな役でも抵抗がない、演じてみたい」と楽しんでいる様子。この秋、臨んでいる本作には、視聴者から「お金って、ここまで人を変えるのかって驚くほどの怪演」といった称賛の声が上がっている。 主婦の佐々木祐子(安達)は夫の義光(青木崇高)、息子の純一(味元耀大)の3人家族。教育費、家のローンの返済など、経済的に余裕がない日々を送っていたある日、3千万円が入ったかばんを手にする。だが、その金は闇組織が高齢者から強奪した金だった。罪悪感を抱きながら金を死守する祐子たちと、金を取り返そうとする闇組織の攻防に、強奪事件を追う警察が絶妙に交錯する。 最初は家の外では控えめな祐子だったが、ピンチを乗り越えるために大胆でたくましいキャラクターになっていく。 「もともと持っていた資質だと思う。平凡に生きてきて、それを発揮する事態にならなかった。窮地に立たされて、本質が爆発したんだと思います」と語り、「へこたれないところは私に似ていて、共感できます」と笑う。 物語は佳境。右に曲がると思ったら左に曲がるという先が読めない展開がテンポよく続き、「ドキドキ・ハラハラだけではなく、いろんな出来事が祐子の良心を刺激していく。祐子たちが今後どう生きていくのかというところに話が向かっていくので、深みがあって考えさせられる展開だと思います」と自信を見せる。 約4年前、美容雑誌の表紙を飾った。それを機に、あまり興味がなかった美容に目覚め、現在、コスメティックブランドのプロデュースを手がけている。 「祐子じゃないですけれど、予期せぬことって起こる。私の場合、それがきっかけで、お仕事が、人生がどんどん広がっていった。畑違いの仕事をすることで、本業は俳優だということを改めて自覚できるし、プラスになっています」と充実した表情を浮かべる。 私生活では2人の子供の母親だ。第2子の長男は小学校2年生。「一緒に過ごす時間はリフレッシュになる。俳優ではない自分でいられる。この前、体育の授業のある日に体操着を持たせるのを忘れて。でも、『大丈夫、大丈夫だよ』ってフォローしてくれるので、助かっています」と、母親の顔をのぞかせた。
■あだち・ゆみ 昭和56年、東京都出身。2歳から芸能活動を開始。ドラマ「家なき子」(日本テレビ系)、「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)の両シリーズ、「にじいろカルテ」(同)、「うちの弁護士は手がかかる」(フジテレビ系)などに出演。