待望のエイズ予防薬が日本で承認―曝露前予防(PrEP)の効果と使用方法とは
◇PrEPの服用方法
PrEPには2つの服用方法があります。 1.デイリーPrEP(毎日1錠服用) ○毎日決まった時間に服用することで、HIV感染リスクを90%以上減らすことができます。 2.オンデマンドPrEP(性行為の前後に服用) ○性行為の前後に数回の服用を行うことで予防効果を得る方法です。 どちらの方法がよいかは性行為の方法やタイミングなどにもよるため一概にいえませんが、予定していなかった性行為の機会が訪れる場合があることを考えると、デイリーのほうが感染対策としては有効といえるでしょう。 実際に当院でも、多くの方がデイリーで服用されています。 オンデマンドPrEPは性行為の頻度があまり多くない方、性行為の予定が決まっていて事前に内服が可能な方、 経済的な負担の軽減をしたい方は、PrEP のオプションとして検討することができます。 ただし、女性の場合は「デイリーPrEP」のみを推奨しています。理由としては、薬を飲んでから腟に薬の成分が届き十分な予防効果が出てくるまでの時間が長く、前日から内服を開始しても間に合わない可能性があるからです。
◇デイリーPrEPの効果と安全性
デイリーPrEPは、HIV感染リスクが高い方に対して非常に有効な予防手段です。研究によると、デイリーPrEPを正しく行ったグループではHIV感染率が90%以上低下しました*。また、一般的に安全性も高いとされていますが、個人の健康状態によっては副作用のリスクもあるため、医師の指導の下での使用が推奨されます。 * Cabotegravir for HIV Prevention in Cisgender Men and Transgender Women. N Engl J Med. 2021 Aug 12;385(7):595-608.
◇デイリーPrEPの注意点と副作用
デイリーPrEPを始める際には、以下の点に注意が必要です。 ●毎日同じ時間に服用すること ●服用開始前にHIV検査、腎機能検査、B型肝炎ウイルスに感染していないかの検査を受けること ●服用後も、定期的な検査(腎機能や肝機能の確認)と医師の診察を受けること ●100%の予防効果を保証するものではないこと ●他の性感染症には効果がないため、コンドームの併用が推奨されること また、デイリーPrEPの予防効果が現れるまでには約7日かかるため、早めに開始することが重要です。
◇デイリーPrEPを正しく使って安全な生活を
デイリーPrEPは、HIV感染のリスクを大幅に減少させる効果的な手段ですが、他の性感染症には効果がありません。そのため、コンドームの併用が必要です。 正しく服用しつつ、定期的な検査も受けてより安心できる生活を送りましょう。
メディカルノート