侍JはWBC準決勝で米国に勝てるのか? 勝機は動く球対策と小林の感性
問題は、先発の菅野の出来である。 米国打線は、まさにオールスター級で、イチローの同僚でマーリンズの4番スタントンが8番を打っているほどである。しかし、打撃30傑に米国で入っているのは、打率.444、0本、4打点で14位のジャイアンツのクロフォード、打率.381、1本、5打点で26位のロイヤルズのホスマーの2人だけ。4番を任されている2年連続2冠王のロッキーズのアレナドが、打率.136、1本、3打点と“スランプ”に陥るなど、チーム打率も.248と、まだ爆発するまでに活性化していない。名将、リーランド監督のことだから、打線を改造してくるのかもしれないが、このまま眠ったままで終わらせる可能性もないわけではない。 カギを握るのは、“WBC男”となっていて小久保監督が「一番成長した」と名指しする小林(巨人)の菅野の力を最大に引き出すリードだろう。2次ラウンドのキューバ戦では、シュート系のボールがコントロールできずに「いいボールと悪いボールがはっきりした」(菅野)と苦しんだが、瞬時に“感性”を使って菅野の状態を把握した上で最高の配球の組み立てを小林ができるかどうか。 星野ジャパンのチーフスコアラーで配球術に詳しい三宅博さんも言う。 「1次ラウンドはまだ外中心の無難なリードだった。2次ラウンドからは成長が見られるが、さらに大胆にいかねばならない。日本と海外チームの大きな違いは、何を狙っているのか、何が苦手か、を敏感にバッテリーが察知して、配球を組み立てていく感性だと思う。海外のチームは型にはまったようなリードをしてくるが、そこが日本の長所でもあると思う」 小林の“感性”が米国打線を不発に封じ込み、筒香、青木らが軸となり機動力を絡めて動くボールを攻略したとき、日本の米国撃破の勝機が生まれることになる。