ネット検索は「ヤフー→グーグル→オープンAI」の時代に…巨大IT企業の「絶好調決算」が示すAIの異常な成長速度
■ヤフー→グーグル→オープンAIに? 分業体制の加速を象徴する変化も起きた。10月末、オープンAIは、AIが人の意図を理解して情報を探す検索サービスを開始した。同社の営利組織への事業方針の転換、生成AI関連の半導体開発などで、ヤフーからグーグルにシフトした検索シェアが、今後はAIスタートアップ企業に移りつつある兆しにも見える。 AIという文明の利器は、組織の在り方、常識を根底から覆す可能性を秘める。研究やプロジェクトごとに専門家がチームを結成する。チームはソフトウェアの研究開発を進め、その中から営利企業を目指す組織が増える。化学と製薬などの新興企業が提携を交わして新薬やワクチンを開発し、世界的なイノベーションも増えるだろう。 見方を変えれば、特定の機能を果たすハードウェアよりも、研究、分析、シミュレーションなどを可能にするソフトウェアの重要性は高まりこそすれ、低下することは考えづらい。素材、工作機械、自動車などの分野で、受託製造業へ事業運営体制の転換を目指す企業が増えることも考えられる。 当面、マイクロソフトなどは設備投資を積み増し、AI分野で成長を目指す。一方、分業体制を敷きAI分野の先行者利得を手に入れようとする新興企業も増えるはずだ。どちらがAIビジネスの収益向上を実現し、世界的なシェアを手に入れるか、注目は増えるだろう。 ---------- 真壁 昭夫(まかべ・あきお) 多摩大学特別招聘教授 1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学院教授などを経て、2022年から現職。 ----------
多摩大学特別招聘教授 真壁 昭夫