ネット検索は「ヤフー→グーグル→オープンAI」の時代に…巨大IT企業の「絶好調決算」が示すAIの異常な成長速度
■マイクロソフト、メタは株価が下落 2024年度、わが国ではトヨタ自動車の設備投資が2兆1500億円に達する見込みだ。それに比べ、米国の有力IT企業の設備投資規模は圧倒的といえる。株式アナリストの一部では、2024年通期、4社の設備投資は前年比42%増の2090億ドル(約31兆円)、うち8割はデータセンター向けとの予想もある。 重要なポイントは、今後、設備投資が収益の増加につながるか否かだ。10月30日の決算発表で、マイクロソフトは、10~12月期に“アジュール”ブランドのクラウドビジネスの増収率が低下する見通しを示した。それに伴い、決算発表後に株価は下落した。同日、決算を発表したメタも、投資負担の増加懸念から発表後に株価は下落した。 一方、10月31日に決算を発表したアマゾンは、売上高が前年同期比11%増の1588億7700万ドル(約24兆円)、営業利益は同56%増の174億1100万ドル(約2.6兆円)だった。AI利用の増加でクラウド事業の収益が伸びた。ネット通販や広告事業の収益も増え、発表後、株価は上昇した。グーグル親会社のアルファベットも、クラウド事業の成長を支えに決算内容は投資家の予想を上回った。 ■“無料サービス”がAI収益化の足枷に マイクロソフトとメタの場合、過去10年間の平均的な設備投資の増加率を上回るペースでデータセンターなどを増やしている。アマゾンとグーグルの設備投資の増加ペースは相対的に穏やかだ。 主要4社いずれも増収増益ではあったが、AI分野での設備投資の増加ペースの差が、決算発表後の株価の動きを分けた。主要投資家は、米IT先端企業の設備投資が着実にキャッシュフローの伸びにつながるか注目している。 マイクロソフトなどのキャッシュフローのミスマッチには、いくつかの要因が影響した。まず、ビジネスモデルのポイントだ。マイクロソフトなどは個人(B2C)、企業(B2B)の両分野でAIの利用体制を目指している。特に個人向けの分野で問題となるのが、“フリー”のサービス提供だ。 IT先端業界は、消費者に無料で検索や動画視聴サービスを提供し、利用者を獲得した。IT先端企業は検索、ネット通販、SNSなどと広告機能を結合し、収益を増やした。フリーで集客するビジネスモデルが根底にあるため、IT先端企業が生成AI関連事業で収益を増やすのに時間がかかっている。