木村沙織ラストゲーム飾れず「東レらしいバレーできていたと思う」
木村沙織ラストゲーム飾れず「東レらしいバレーできていたと思う」 THEPAGE大阪
バレーボール・プレミアリーグ女子のファイナルステージ「ファイナル6」が5日、横浜文化体育館で行われ、東レ(ホームタウン:滋賀県大津市)はNECに1-3で敗れ上位3チームに残ることができず敗退。今リーグ限りでの引退を表明している木村沙織のラストゲームを勝利で飾ることはできなかった。NECが1位でファイナル(優勝決定戦)に進出、同2位の久光製薬(サブホームタウン:兵庫県神戸市)と同3位の日立がファイナル進出を懸けた「ファイナル3」(11、12日・島津アリーナ京都)に進んだ。
「自分たちらしいバレーはできていたと思う」
「ファイナル3までに入りたい」。サオリンの願いは一歩届かなかった。残り2試合で6ポイントを取らなければならないというギリギリの状況の中、前日の4日、レギュラーラウンドで負け越していたトヨタ車体を3-1で破り望みをつないだが、最終戦でNECに逆転負けした。 今季のリーグ限りでの引退を決めている木村にとってはバレー人生のラストゲーム。「3ポイント取ることがいちばんの目標でみんなで勝って終わろうと話していたんですけど、負けてしまって……今シーズンは終わってしまいましたが、自分たちらしいバレーはできていたと思う。ずっと負けていて初めて入替戦が頭をよぎった時期もあったんですけど、みんなが常に前を向いて立て直して勝ちきれるようになって臨んだファイナル6だったので、ファイナル3に行けなかったのは残念でしたが、前を向いて勝ちを取りに行けたのはよかったかなと思う」と前向きに振り返った。
「東レらしい爆発力のあるバレーをしたい」とチームを鼓舞
昨年のリオ五輪後に「もうバレーは十分」と、同じく五輪代表でチームメイトの迫田さおりとともにバレーを辞めるつもりでいた。菅野幸一郎監督の説得もあり「最後に恩返しの思いで。日本のファンの皆さんの前でプレーしよう」と今リーグを戦うことを決めたが、準備不足も重なってレギュラーラウンドは序盤から思うような結果が出せず「最低、情けない」ともらしたこともあった。 「決められる選手」攻撃を1枚増やすため、東レは天皇杯・皇后杯からレセプション(サーブレシーブ)を木村と妹の木村美里(リベロ)の2人で取る形にチェンジ。エースであると同時にディフェンスの要でありたいと話す木村にとって、その役割をこなすことが自信となり、レセプションからリズムよく攻撃することでオフェンス面でも調子が上向きに。チームの粘りや結束も強まり、6位で「ファイナル6」に入った。 「ファイナル6」でも「最後とかあと何試合とかは考えずに東レらしい爆発力のあるバレーをしたい」と試合前など周りに声をかけ、チームを鼓舞した。 初戦のJTから久光製薬、日立と3試合がフルセット。最初の持ち点はゼロながら負け試合も粘ってポイントを積み、「ファイナル3」へと道をつないできた。勝つだけでなく、3ポイントが必須のトヨタ車体戦ではコースをつく上手いアタックや狙い定めたブロックなどでチーム最多の22得点、スパイクで54.1%の決定率を挙げ、チームを勝利に導き、望みをつないだ。 ファンが見たかった「これぞ木村沙織」といった姿や気迫のプレーに、敗れたかつてのチームメイトで日本代表でも苦楽をともにした荒木絵里香(トヨタ車体)は「辞めるのはもったいないと心から思う」と称賛した。