「お手本になるリーダーが社内にいない」と思う人の大きな勘違い…グチを言う前にすべきこと
---------- 「この会社には、お手本になるような先輩リーダーが全然いない……」。こんなことを思ったことはないだろうか? 著書『変化をもたらすリーダーは何をしているのか? 』を上梓した、人材育成・組織風土改革コンサルタントの園部浩司氏が、みずからの経験をまじえながら、この悩みに対するアンサーを提示する。 ---------- 【写真】人事評価で「上位5%」に入った人たちの働き方「驚きの共通点」
お手本になるリーダーがいないと思ったら
あなたは「自分がリーダーの任に就いたのはいいけれど、お手本になるような先輩リーダーが社内には全然いない」と悩んでいませんか? これは、私が実際に周りのいろいろな人たちからよく聞いた悩みでもあります。 確かに、誰から見てもリーダーにふさわしい、皆が憧れるスーパースターのようなリーダーが、自分の身近にいる例はほとんどないでしょう。 けれど、自分より経験を積んだ先輩たちには、それぞれにどこか学ぶべきところがあるものではないでしょうか。たいていの場合は、見る側がそれをきちんと意識していないために、見えていないだけです。 実際に私も、自分に自信があったこともあり、周りの先輩リーダーたちのマネジメントがそれまで全然見えていなかったと思います。 しかし幸い、当時の私は上司に恵まれていました。 私の上司である部長は、私が「自分に足りないのは部下の育成なので、これからは部下に自分の仕事を自分で決めさせて、達成感を味わってもらえるマネジメントをやってみたいです」と言えば、「そうか。やってみたらいいよ。前のあなたのやり方では危ないなと思っていたから」とざっくばらんに応えてくれるような人でした。
「いいところ」を意識して見るようにする
そこで私も、「え、危ないと思っていたんですか?」と改めて部長に訊ねました。 部長は「思っていたけど、その時に俺があれこれ言ったところで、無駄だっただろう? 人間は痛い目に合わないと気づかないから」と笑います。 確かに当初、マネージャーとして自分のやり方を通そうとしていた時に、「それではダメだ」と言われても納得できなかったなと、私も思いました。今振り返っても、そう思います。 それと同時に、その時、部長が私のことをちゃんと見ていてくれて、私の話を聞いてくれるということを初めて理解したと思います。 そして、「ああ、これがマネジメントなのか!」と感じました。 私は改めて、部長の何を見ていたんだろうと反省し、それからは自分の上司だけでなく、社内のいろいろな人のいいところを観察して、一つひとつ採り入れていこうと決めたのです。 当時私が所属していた事業部には、1部から4部まで4つのセクションがあり、それぞれに部長がいました。 私の直属の上司は先にもお話しした通り、尊敬できる人でしたが、他の部長もそれぞれに異なる個性を持っていて、皆いいところがありました。