2回目入札で1割が“色落ち” 有明海の養殖ノリ平均単価27円86銭で過去最高値も漁業者から消えない不作への懸念
初入札では黒く良質なノリが出品され好調なスタートを切った今季の有明海のノリ養殖。しかし、2回目の入札では約1割に“色落ち被害”が見られた。漁業者は今季も不作への不安を抱きながら漁を続けている。 【画像】これほど違う!色落ちノリと黒いノリ
平均単価は過去最高値だが…
今季こそは豊作を目指している有明海のノリ養殖。初入札から約半月後の12月12日、2回目の入札会が佐賀市で開かれた。 出品枚数は不作だった昨季より約4000万枚多い1億6150万枚。日本一だった3季前の約8割だが、2季連続の不作で在庫不足もあり、平均単価は1枚あたり27円86銭で過去最高値となった。
1割が色落ち…漁の先行きに不安
しかし、2回目の入札は今季のノリ漁の先行きに不安を感じざるを得ないものとなった。出品された約1割に黒くならない“色落ち被害”がみられたのだ。 原因はノリの成長に必要な栄養塩不足。ノリの栄養塩は雨によって陸地から川を経て海へ運ばれてくる。
12月上旬の降水量わずか0.5ミリ
11月上旬にまとまった雨が降ったため、11月28日の初入札では黒く質の高いノリが出品されたが、それ以降雨が少なく、中西部や南部の沖合の漁場ではノリの生育に必要な栄養塩が不足し、色が黒くならない「色落ち」がみられているという。 佐賀の12月の平均降水量は59.5ミリだが、今年は12月1日から11日間の降水量はわずか0.5ミリ。このため、ノリ養殖にとっては栄養塩が不足する厳しい海況となっている。
「蓋を開けたら…ちょっと深刻」
少雨と色落ち被害で漁業者も不作への不安を口にする。 佐賀市のノリ漁業者 竹下勝治さん: 海況的には今年は良いかなあと思っていたんですけど、蓋を開けてみたら… 佐賀県有明海漁協販売部兼購買部の中島光部長は、「(有明海)全域で若干栄養塩が不足していて、ちょっと深刻な状況だが、(漁業者は)1枚でも多く生産に結び付けたいという努力をしている」と今季の現状を説明する。 初入札では4年ぶりに色落ち被害がなく良質な黒いノリが出品され好調なスタートを切った今季のノリ養殖。しかし、2回目の入札では色落ちがみられ不作の悪夢がよぎる。 漁業者は、今季も先行きに不安を抱きながら恵みの雨を祈り、真冬の海で漁を続けている。 (サガテレビ)
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