何かと「大谷翔平のような」とたとえるのは三流の行為…そのとき一流が例に挙げる"鉄板事例"の共通項
■相手が聞きたい情報とは、間違いなく「結論」 仕事をしていると、何かやむなき事情で進捗が滞ることがあります。上司に仕事の進捗が遅れていることを伝えるとき、つい、言い訳をして自分をかばいたくなる気持ちもわからないでもありません。 しかし、言い訳は相手が聞きたい情報ではないのです。 説明が下手な人は、仕事の進捗がなぜ遅れているかを延々と説明して、無意識のうちに相手をイライラとさせてしまいます。 一方、説明上手な人は、相手が何を聞きたいかに意識を向けて、相手が聞きたい情報から話します。 相手が聞きたい情報とは、間違いなく「結論」です。相手は、結論を待たされている時間は無駄だと考えています。仕事の進捗が遅れているのなら、遅れている現状をまず説明するといいでしょう。 説明上手な人は、仕事の進捗報告として「今、どんな状況なのか」から話を始めます。聞き手がどんな反応をするかもわかっていますから、その流れで、そうした状況になっている「理由」と、この後どうするかという「対応策」を語ります。 あくまで説明を受けた聞き手が次の手を判断できるよう、材料を提供することを心がけているのです。 たとえば、任されたプロジェクトに自信がないとしましょう。 ×Aさん「このプロジェクト、私にはあまり経験がないんです。だから、完璧にはできないかもしれません。でも、頑張ります。」 ■聞き手が何を聞こうとしているのかに集中する このように説明してしまうと、聞き手に「経験がないから完璧にできないと言い訳をしているんだな」と思われかねません。 一方、次のように説明するとどうでしょう。 ○Bさん「このプロジェクトに取り組むにあたり、まだ経験が浅い部分もありますが、しっかりと調査・研究を行い、最善を尽くしてまいります。ご指導のほど、よろしくお願いいたします。」 経験がないことを伝えつつも、調査と研究をすることと指導してもらいたいという「対応策」を伝えています。 プロジェクトを任せる人としてもAさんよりもBさんのほうが、やりとりがスムーズに運びそうだと感じるのではないでしょうか。 聞き手が何を聞こうとしているのか、まずはそこに集中して説明をしましょう。 ---------- 説明上手な人は、相手にとって言い訳を聞いている時間は無駄な時間だととらえている。 ---------- ---------- 鶴野 充茂(つるの・みつしげ) ビーンスター 代表取締役、広報アドバイザー 社会構想大学院大学客員教授、日本広報学会常任理事。コミュニケーションの専門家として、国内外数百社の経営者や政治家、医師・弁護士など専門家向けに広報アドバイザー、トレーナーとして活動するほか、東京理科大学オープンカレッジなどで説明力や文章力を高める講座を提供するなど広くビジネスパーソンに向けてコミュニケーションを教えてきた。東日本大震災後に国会内に設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)でデジタル・コミュニケーションを統括、全国がん登録制度の発足時にはPR責任者を務めるなど、全国規模のコミュニケーションプログラムやPRキャンペーンにも携わる。水循環基本法フォローアップ委員会委員。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)元理事。筑波大学(心理学)、米コロンビア大学院(国際広報)卒。 ----------
ビーンスター 代表取締役、広報アドバイザー 鶴野 充茂