上位入賞続け光明を見る山本尚貴の陰で、不運の連鎖に苦しむチームメイト佐藤蓮「この流れを断ち切りたい」|スーパーフォーミュラ第2戦
オートポリスで行なわれたスーパーフォーミュラ第2戦。PONOS NAKAJIMA RACINGの2台は共に高いポテンシャルを見せたものの、その結果は対照的なものとなってしまった。 【リザルト】スーパーフォーミュラ第2戦オートポリス 決勝レース結果 NAKAJIMA RACINGは3月の開幕戦鈴鹿で、山本尚貴が3位表彰台、佐藤蓮が5位と好調な滑り出しを切った。第2戦はチームが苦手とする暑いコンディションでのレースとなったが、山本は予選で3番グリッドを確保し、上位争いを展開。佐藤は予選でタイムが伸びず15番グリッドとなったが、決勝に向けてはセットアップの軌道修正に成功し、スタートも決めたことでポイント圏内を走っていた。 しかし、11周目に佐藤をトラブルが襲う。シフトアップできなくなる症状が発生し、スローダウン。そのままピットに戻り、レースを終えることになった。 「2ヘアの立ち上がり(ジェットコースターストレート)で2速から3速に上げ、4速に上げるタイミングでスタックしたのかギヤが上がらなくなってしまい、3速のまま帰ってきました」 そう説明した佐藤。予選で不調だった原因が掴めたことで、決勝でのレースペースには自信があったようだ。 「予選では64号車(山本)と違う方向性に行ってしまい、それが明らかな不調の原因でした。そこの理解を深めて、我々の号車なりにそういった方向性を試したところ、日曜の走り出し(フリー走行)から良かったです」 「ちょっとしたところですが、そこの原因が分かったので、予選に向けてもポジティブな部分がいっぱいありました。次戦SUGOに向けてはもう少し自信を持てるかなと思います」 一方の山本はスタートで2番手に上がったものの、レースペースには苦戦していた。当初の予定通りウインドウオープンとなってすぐにピットに入り、アンダーカットを狙う作戦に出たものの、レース後半にピットインしてフレッシュタイヤを履くライバルに対してはポジションを守り切れず、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)に抜かれて4番手に。同じタイミングでタイヤを交換した太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は抑えきり、4位でのフィニッシュとなった。 山本はレースを振り返り、ペースの面で苦しい戦いになったと語った。 「(ライバルを)抑えていれば相手もタイヤが消耗すると思っていたので、もう少し抑えたかったのですが、自分のペースがどんどん落ちてしまったので、堪えきれなかったですし、抜かれてからのペースを見るとよく抑えてたなと思うくらい全然ペースが違っていました。苦しかったです」 「予選は僅差の中で3番をとれて良かったですが、決勝ではタイヤに優しいクルマを作れなかったので、そこは次に向けての反省と課題ですね」 レースの内容としては開幕戦鈴鹿の方が良かったと語る山本だが、2戦連続でのトップ5フィニッシュ。ポイントランキングでも僅差の4番手につけている。下位に沈むことも少なくなかった過去数シーズンと比べると得られるものも多く、その表情は明るい。 「この位置で走り続けているのと、下位で走り続けているのとでは見える景色が違います。データもレベルの高い次元で見られるので、ここが大事だと思います」 「勝つことも大事ですし、表彰台近辺で戦い続けることがレベルアップには大事です。チームとしてもピットストップが2戦連続でうまく行っていて、着実に力をつけていると思うので、次のSUGOに向けてもう1ステップ、上がれるようにしたいです。ここを踏み外さないように頑張ります」 一方の佐藤は、昨年から不運に祟られている感もある。昨季は第3戦でドライブシャフト、最終戦でフロアが壊れて完走を果たせず。今年は2週間前のスーパーGT富士戦でも、パワステのトラブルによりリタイアとなったばかりだ。本人はコンスタントにポイント圏内に顔を出してレースをしているだけに、もどかしさも強い。 セットアップではポジティブなものが見られていると、次戦に向けて気持ちも切り替えやすいかと問うと、佐藤は「そう……ですね……」と複雑な表情で答え、こう続けた。 「ちょっとこの流れを断ち切りたいです。まだ優勝を争いをしているうちにトラブルが起きなくて良かったと思って、この原因をしっかり調べて次起きないようにして、レースウィークをうまく組み立てたいと思います」
戎井健一郎