高知、セオリー無視の初球エンドランで好投手攻略 センバツ
第94回選抜高校野球大会は第3日の21日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、4年ぶり19回目出場で昨秋の四国大会優勝の高知が14年ぶり8回目出場の東洋大姫路(兵庫)に4―2で勝った。高知は五回に大胆な作戦が決まり、第85回大会(2013年)以来となる初戦突破となった。 【天候に恵まれ】高知 vs 東洋大姫路 東洋大姫路の好投手・森攻略の突破口を開いたのは、高知の9番・三谷によるセオリーではない初球エンドランだった。 0―0の五回1死一塁。三谷が右打席に入ると、初球からヒットエンドランのサインが出た。外角のカーブに食らいつくと、打球は中堅手の前へポトリ。一、三塁と好機を演出し「うまくセンター前に落とせた」としてやったりだ。直後に山下が適時二塁打を放つなどして3点を先制した。 初球エンドランの打撃は、二つの点でセオリーと異なっていた。一つはカウント。1―1からの3球目など、次にストライクが来る確率が高いケースでやるのが一般的だ。初球はボールで入られる可能性もあったが、浜口監督は「森君は先見性がある」と相手に対策を立てられる前に仕掛けた。リスクはあるが、自信もあった。三谷はチーム一のミート力の持ち主。練習試合で何度も初球エンドランを行い、心構えはできていた。 もう一つはゴロを打つのではなく、強振したことだ。三谷は「無死一塁なら転がすが、1死一塁なので、監督は走者の複数進塁(三塁まで)を考えている。強く振ろう」と一、三塁以上の状況を狙った。仮に空振りしても「(走者の)櫛田が盗塁を決めて助けてくれる」と割り切っていたからこそ、外野まで運べた。 近年の高知代表といえば、明徳義塾だ。三谷の父も明徳義塾で1997年春に出場しているが、三谷は浜口監督の野球に憧れて中高一貫である高知に進学した。「(明徳の)馬淵監督は『耐えて勝つ』だが、我々は攻めて勝つ」と浜口監督。それを体現する打撃だった。【安田光高】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。