「上司への報告」仕事ができる人の伝え方とは? わかりやすい構成には決まった“型”がある
なんと、話を聞いてみたら、市が考えていた魅力の伝え方がかなりズレていたことがわかり、Dさんは驚きました。 市が考えていた魅力の伝え方 ■市の特産物を支えてくれている農家さんが多数出店! 地元の野菜の良さを再認識できます! ■市内の飲食店も出店あり! (詳細情報は載せていなかった) この内容は、改めて読むと、市の職員が伝えたい情報をただ記載しているだけでした。ターゲットである主婦や若者には刺さらないのは当然です。相手の視点に立って、期待されていることの優先順位を上げて伝えたらよくなるはずだ。そう考え直したDさんは、以下のような要素をメインに伝えることにしました。
再考した伝え方 ■その日の朝に、農家の方が収穫したばかりの新鮮な野菜が並びます! 週末のごちそうにどうぞ! ■市内で人気のイタリアンが出店! 今回限定の特製パニーニを限定発売! (写真つき) ■【「細部で語る」の型】、【「物語化」の型】 Dさんは、この取材で得た大きなヒントは、そのままプロモーションに活かせるのではと考えました。でも、どう伝えればそれが最も魅力的に伝わるか悩みました。文章で書いてパンフレットやポスターにするだけでは、せっかくのワクワクが伝わりきらないかもしれない。せっかくリアリティのある貴重な意見を回収できたので、それも活かしたいところです。
そこで使える発想が【「細部で語る」の型】【「物語化」の型】です。 ■2つのストーリーをSNSで発信 Dさんは、「ある主婦と高校生の女の子をそれぞれ主人公にした2つのストーリー」の中で、彼女たちがそれぞれの目線でマルシェ体験を語る、というコンテンツをつくりSNSで発信することにしたのです。 みんなに当てはまることを最大公約数的に表現すると、曖昧でぼんやりしたものになってしまう。あえて具体的な2人のケースを取り上げることで、くっきりと伝わりやすくする。それが物語として追体験できるコンテンツになっているので、自分ごととして感じることができるようになりました。
■【「予告編」の型】 さらに、SNSの投稿の冒頭に、続きのコンテンツを見たくなるような、こんな「予告」をつけました。 「ある主婦の、ある女子高生の、ちょっとハッピーな週末の過ごしかた。 とれたて野菜とおいしいごはんが集うマルシェが、あなたの休日を変えるかも?」 キャッチコピーのようでもありますが、要は、中身で語っていることを少しだけ覗かせて、続きをもっと見たくなる表現に変えているだけです。週末の予定を探している主婦や若い子が、興味を引かれる内容になっているのではないでしょうか。
井手やすたか :博報堂ケトル コピーライター/クリエイティブ・ディレクター