「上司への報告」仕事ができる人の伝え方とは? わかりやすい構成には決まった“型”がある
ビジネスパーソンであれば欠かせない「上司への報告」。「伝え方」には誰もが再現可能な「型」があります。「上司への報告も、型を使えば最適な伝え方ができるのです」と、博報堂のコピーライターとして、国内外20以上の広告賞を受賞してきた井手やすたか氏は言います。同氏の新刊『伝え方図鑑』から一部抜粋、編集してお届けします。 【この記事の他の画像を見る】 ■ケース:業務の成果を上司に報告したいAさん ここでは、難解だったり複雑だったりする情報が、より簡単に、シンプルに伝わる伝え方について、実践のケースとして、ビジネスパーソンなら誰もが通る道、「上司への報告書」というケースにスポットを当ててみます。
■状況 若手社員のAさんは、取引先の企業Bとのプロジェクトを任されていました。クライアントの新商品発売プロジェクトに、彼は流通の関係会社の営業として参加しました。入社してはじめて彼がメインの担当者として携わった仕事ですから、彼にはその成果をできるだけ大きく報告したい、という思いがあります。 さて、まず彼は、報告する際の資料づくりから取り掛かることにしました。なんといっても自分自身の成果報告ですから、彼は今回のプロジェクトで自分がクライアントに提案した部分のみを抜粋してまとめることにしました。
用意した資料「今年の提案資料一式、そこからの抜粋した10ページ」。しかし、この発想には問題があります。自分自身のしたことを中心にそれだけでまとめる、という視点は、その報告を受ける「上司の視点」を忘れているからです。 このプロジェクトに関わっていない上司からすれば、まずは前提となる情報からインプットしてほしいはずです。Aさんの初手としての正解はきっと、 「このプロジェクト全体のスケジュールやプロセスの構造図」
「そのプロジェクトがどんな人員体制で進んでいたかの組織図」 という資料をまず用意することでしょう。つまり、プロジェクト全体がどう進んでいて、その中でAさんがどういうポジションで関わったかを上司は見たいのではと思うからです。この発想は、以下のような【「構造化」の型】、【「俯瞰」の型】の活用です。 ■わかりやすい結論を用意する 全体の構造をまず俯瞰させて安心してもらったら、いよいよ彼の成果を伝える準備が整います。今回のケースでは、上司が求めている内容がはっきりしている(=部下からの成果報告を知りたい)ので、以下の【「結論から」の型①】に則り、わかりやすい結論を用意する方向で進めたほうがよいでしょう。