「国は明らかな差別と深刻な不条理を放置」戦争被害者4団体“残された戦後処理”の立法解決訴え集会 石破茂首相に要請書
「日本人として恥ずかしく無責任」
あと半年で100歳になるという、シベリア抑留経験者の西倉勝さんは「シベリア抑留の正確な実態調査」と「台湾・韓国出身元抑留者への補償の早急な実施」を訴えた。 「シベリア抑留では、戦後60万人以上がソ連とモンゴルに拉致され、約1割が現地で亡くなりました。帰国できた50万人以上もほとんど亡くなり、存命中の体験者は全体の0.5%以下となっています。 6万人の犠牲者は、戦死者ではなく、飢えや寒さ、病気、労災で亡くなった人であり、本当は救えたはずの命でした。 国にはせめて、死亡者名簿の確定や遺骨収集など、実態調査を進めていただきたいです。 また、抑留された人の中には台湾や朝鮮半島の人もいました。彼らは当時日本人だったのにもかかわらず、戦後、日本政府からの補償を受けられていません。 こうした不条理、不作為の状態が続いているというのは日本人として恥ずかしく、無責任です。早期の立法措置や、シベリア特措法の改正によって解決してほしいと思います」(西倉さん) 戦争終結から80年が経とうとしている今、先の大戦で被害を受けた人に残された時間は限られているのが現実だ。実態調査により後世に戦争を伝承するとともに、見過ごされてきた課題を解決するためにも、国会での早急かつ丁寧な議論が期待される。
弁護士JP編集部