「国は明らかな差別と深刻な不条理を放置」戦争被害者4団体“残された戦後処理”の立法解決訴え集会 石破茂首相に要請書
「受忍論の壁に少しでも風穴を」
同じく空襲連で、東京大空襲の犠牲者遺族の河合節子さんは「私たちにとって、戦争はまだ終結していない」と述べた。 「国が起こした戦争によって、民間人が被害を受けたことは明らかな事実です。 戦争の被害は国民が等しく負うべきであるという『受忍論』とよばれる考え方がありますが、実際には軍人・軍属には遺族年金や恩給が支払われていますから、民間人被害者との間では天と地ほどの差があります。 法律案の内容は十分ではないと思いますが、私たちの命も、もうわずかしか残されていません。 受忍論の壁に少しでも風穴を開け、空襲の実態調査を行い、後世に伝えることができれば、戦災孤児や遺族の心も救われるのではないでしょうか」(河合さん)
外国籍元BC級戦犯遺族らも法整備訴える
この日はほかにも、沖縄、南洋諸島、フィリピンでの戦闘による民間人被害の救済を訴える「民間戦争被害の補償を実現する沖縄県民の会」や、外国籍の元BC級戦犯やその遺族による「韓国・朝鮮人元BC級戦犯者『同進会』&『同進会』を応援する会」、 「シベリア抑留者支援・記録センター」が参加。 県民の会の顧問弁護士・瑞慶山茂氏は沖縄戦、南洋戦・フィリピン戦被害の国家賠償訴訟で弁護団長を務めた経験から、次のように訴えた。 「判決では旧日本軍による不法行為の事実等が認められたものの、補償については退けられました。 これを踏まえると、この問題を解決するためにはやはり、国会での議員立法が必要だと考えます。ただ、空襲連や議連で検討している法律案では、救済の対象となる被害が限定的であり、沖縄戦による民間被害者に対する救済が十分ではありません。 ぜひ、禍根を残さないためにも、よりよい法案にしていくよう検討していただきたい」 また、朝鮮半島出身の父が旧BC級戦犯だったという同心会の畠谷吉秋副会長は「なんとか立法による解決を実現してほしい」と訴える。 「父の仲間の多くはすでに亡くなってしまい、子どもの世代は、この問題を親から聞かされていない人も少なくありません。 それでも、このまま終わるのではなく、法案を通すことで親世代の名誉を回復してもらいたい」(畠谷副会長)