「無謀な『2台出し』やめるべき」 辺野古警備員死亡で沖縄・玉城知事が防衛局に不快感
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、玉城デニー知事は28日の定例記者会見で「現場で(ダンプカーが連続して出る)『2台出し』のような無謀なことはやめるべきだ」と述べた。 【写真】事故現場に近い安和桟橋付近には運搬作業の再開を批判するプラカードが掲げられていた 玉城知事を支持する「オール沖縄会議」は7月、事故の背景について、「2台出し」や抗議者が渡り終えていないうちに見切り発車でダンプカーを出す危険な状態があったと指摘していた。 事故を巡っては、防衛省沖縄防衛局が県に対する要請文で「事故は民間事業者の作業を妨害する者による行動に起因したもの」と断じ、事故から約5カ月経過した今も、県は何ら安全対策が講じられていないとして「不誠実な対応に終始している」と批判していた。 防衛局によると、9月以降、現場の安全対策について県の担当者と打ち合わせをしてきたが、県側から具体的な提案は全くなく、「形式的に場を設けているだけで、安全対策のための実質的な協議になっていない」(防衛局)という。 これに対し、玉城知事は協議中に防衛局が要請文を出したことに、「防衛局(の方)が協議にしっかりと対応していないのではないか。そう言わざるを得ない」と不快感をあらわにした。 事故現場では、事業者側が以前からガードレールの設置を何度も要請していたが、県は「歩行者の横断を制限することになる」と認めなかった。 一方、市民団体は「特定の事業者・警備員が公道を封鎖し、歩行者の通行を阻止することなど許されるはずはない」として、ガードレールや車止めポールなどの設置を認めないよう求めていた。 玉城知事は会見で「歩行者の通行を妨げるガードパイプの設置ではなく、車止め(ポールなど)の設置は検討可能」との認識を示し、調整を進めているとした。 事故現場では現在、警備員がオレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしているが、ガードレール設置などの安全対策は講じられていない。 悲劇を繰り返さないために、少なくとも、死角の多いダンプカーの真ん前を横断する危険な抗議手法は改める必要がある。(大竹直樹)