朝乃山、復活へ意欲 三役返り咲きも大けが…皆勤は今年1場所
●高砂親方「やる気十分」 一年納めの大相撲九州場所が幕を閉じ、元大関朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は全休で終えた。夏場所では初の三役返り咲きを果たしたが、名古屋場所では相撲人生を左右する左膝の大けがを負うなどし、皆勤できたのは6場所中1場所のみ。富山新聞社の取材に応じた師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)は「本人のやる気は十分。気持ちが一番大事だ」と来年の飛躍を期待する。 【表】朝乃山の今年の成績 朝乃山は九州場所に帯同して、福岡市内の宿舎で基礎運動を中心に下半身の強化にも取り組んでいる。見守ってきた高砂親方は「順調に回復している。焦らず治すことが大事」と語る。朝乃山自身も「膝は体を支える大事な部分。治らないと出場しない」と断言している。 西前頭7枚目で初場所を迎え、初日から7連勝と幸先良く一年をスタートさせた朝乃山をけがが襲った。8日目の玉鷲戦で右足首を捻挫して休場したが、途中出場して9勝まで星を伸ばした。翌春場所も西前頭筆頭で9勝を挙げて小結昇進をつかんだ。 ところが夏場所直前、春巡業中に右膝を痛め、治療を優先するために全休を決断した。休場明けの名古屋場所では再び受難に見舞われた。4日目の一山本戦で左膝を負傷し、救急車両で搬送された。7月末には手術を受け、8月からはリハビリをスタートさせた。 不祥事によって6場所の出場停止処分を受け、2022年名古屋場所で復帰する頃には番付が三段目まで落ちた。来年初場所も全休となると、再び三段目まで陥落することは避けられない。 ●2度目の再入幕を 戦後、幕内経験者が2度も三段目以下に陥落して再入幕を果たした前例はない。高砂親方は来年3月の春場所での復帰が濃厚だとし「本人は前向きにやっている。良い状態だ」とみる。 2度目の挫折を味わっても、再び土俵の上で大観衆の歓声を浴びるまで朝乃山の気持ちは折れない。来年の飛躍を期し、今は地道に汗を流し続ける。