白いタンポポと黄色いタンポポがあるって知ってた?タンポポ観察のコツと楽しみ方
みなさんは、知っている雑草を聞かれたとき、どんな名前を思い浮かべるでしょうか? 今回は、多くの人が答える(はず)のタンポポを紹介します。そう、身近な野の花の代表であるタンポポも雑草なんです。そしてタンポポといえば黄色い花ですが、じつは白い花のタンポポもあるんです! 【写真14枚】在来タンポポと外来タンポポの見分け方は?日本在来種のシロバナタンポポの繁殖場所、綿毛を保存する方法などを写真で見る
実は奥深いタンポポの世界
タンポポといえば、春先に咲かせる黄色い花や、白い綿毛を付けたかわいらしい姿が印象的です。実は、黄色い花を咲かせるタンポポには様々な種類があるだけではなく、白い花を咲かせるタンポポも存在します。 タンポポには昔から日本に生育する「在来のタンポポ」と、海外からやって来た「外来のタンポポ」があり、セイヨウタンポポ(外来)やカントウタンポポ(在来)という個々の名前を持っています。 ◆外来タンポポは札幌から広まった? 外来タンポポであるセイヨウタンポポはヨーロッパ原産で、明治時代に日本に持ち込まれたと考えられています。当時、北海道の札幌市に、海外の農業技術を学ぶことができる札幌農学校がありましたが、アメリカ人の教師が野菜としてセイヨウタンポポを持ち込んだという説があります。 また、明治37(1904)年に発行された「植物学雑誌」の中で、植物学者の牧野富太郎博士が、札幌の道端に繁殖しているセイヨウタンポポがいずれ南下して日本中に拡大するだろうと述べています。実際その通りになりました。 ◆ライオン?鼓? 名前の由来と別名 タンポポの英名は、ダンデライオン(dandelion)といい、語源はフランス語でライオンの歯を意味する(dent de lion)に由来しています。これは、ギザギザしているタンポポの葉がライオンの歯の形に似ていることによるものです。 むしろ、たてがみの立派なオスのライオンの顔が、タンポポの花に似ているような気もするのですが、花ではなく葉のかたちが決め手になったようです。 その他にも、ヨーロッパではタンポポのことを「お星さまの落した金貨」や「牧童の時計」、花の色から「バターの花」などと呼ぶことがあります。また、タンポポの茎を折ると白い汁が出ることから、「ミルク草」とも呼ばれています 日本では、タンポポのことを鼓草(つづみぐさ)とも呼んでいましたが、花の形状が打楽器の鼓に似ていたためと考えられます。 このように、同じタンポポでも、国によって見え方が全然違うところが面白いところです。 ◆在来タンポポと外来タンポポの見分け方 在来と外来のタンポポを見分ける際には、タンポポの花の裏側の総苞(ソウホウ)と呼ばれている部位に注目してください。総苞の外側(外片)が反り返っているのが外来タンポポで、写真のように反り返らないのが在来のタンポポです。 外来タンポポの総苞が反り返っている理由として、花を食べるナメクジを防ぐためという説があります。普段、何気なく見ているタンポポの形態には、様々な進化の痕跡があるようです。 ◆在来タンポポと外来タンポポの生育環境 在来タンポポと外来タンポポは繁殖方法に違いがあります。 在来タンポポが種子を作るためには、花粉を運ぶ昆虫と、周辺に同種のタンポポが存在する必要があります。これに対して、外来タンポポは受粉しなくても種子を作ることができるため、1個体で増殖することができます。 また、在来タンポポは主に、里山や標高がやや高い地域、さらには高山にまで生育しているのに対して、外来タンポポは新たに開発された土地が多い都市部に生育しています。 ただ、都市部でも人の手があまり加わらない鉄道の敷地内で、在来のシロバナタンポポを見つけたことがあります。毎年、そこで観察をしていますが、生育場所は変わらずに白い花を咲かせています。