署員盗撮捜査なぜ中断? 県警前本部長・野川氏の判断明らかに「直接証拠乏しく国賠訴訟の懸念」 本部指揮は早計との認識、所轄署捜査継続のはずが誤って伝わる 県議会参考人招致
鹿児島県警の前生活安全部長が「野川明輝(前)本部長が隠蔽(いんぺい)しようとした」と主張する元枕崎署員の盗撮事件を巡り、当初から関与が疑われていた署員への捜査について野川前本部長が「直接証拠が乏しい。国賠訴訟の懸念もある」との認識を示し、本部長指揮としなかったことが16日、分かった。署と本部の連絡役を担った前首席監察官の上別府高宏氏(現・鹿児島中央署長)は、捜査が2日ほど中断した経緯について、「署への説明が言葉足らずだった」と釈明した。 【写真】〈関連〉県議会総務警察委員会の県警側答弁ポイントを分かりやすく
県議会総務警察委員会が同日あり、県警不祥事を集中的に調査。上別府氏は参考人として呼ばれた。 初動段階で、上別府氏は野川前本部長から、2022年に奈良県警の警察官が違法な取り調べを受けたとして国賠訴訟を起こした事例を示されたと説明。「直接証拠のない段階で本部が捜査し、職員を被疑者扱いすることは不適切だ」などと伝えられたという。前署長に対しては「署で捜査を尽くし、新たな証拠が出た時点で本部長指揮事件にすると伝えたつもりだった」と答弁した。 署の捜査が2日ほど中断した経緯を巡っては、前署長から「署で捜査するなということかと思った」と聞かされたという。「職員を被疑者と認定して行う捜査は署長判断ではできないと伝えた」とした上で「署長指揮で捜査できないのであれば、署での捜査ができないと感じ取ってしまったのではないか」と推測した。 逮捕2カ月前に署が作った容疑者浮上報告書の存在は「知らなかった」とした。
同日は23年に県内であった警察官によるストーカー事案の調査もあった。参考人で当時霧島署長だった南茂昭生活安全部長が「初動対応や本部との連携が悪かった。当事者に会って謝罪したい」と弁明した。 捜査書類の廃棄を促すようにも受け取れる「刑事企画課だより」についても質疑があり、当時課長だった川崎清警務部参事官は「各地で再審請求や国賠訴訟がある中、多くの人に心配や懸念を抱かせてしまった。おわびしたい」と陳謝。作成理由は「必要な書類を確実に送致、保管することを周知するため」と述べた。 同日の模様は常任委員会で初めて、インターネットで公開された。
南日本新聞 | 鹿児島