検査、診断、そして治験・治療へ―希少難病を支援する団体 セミナーで展望語り合う
希少難病の子どもと家族を支える“健やか親子支援協会”は、患者が早期に専門医に出会い、診断に至ることを目指して、“小児希少難病の精査診療機関検索サイト”(以下、検索サイト)の充実に取り組んでいる。オンライン配信中のセミナーリポート第2回は、検索サイトの目的や今後の展望などについて話し合われたパネルディスカッションの模様をダイジェストでお届けする。【全2記事の2】 (「小児希少難病の精査診療機関検索サイトセミナー」:https://angelsmile.scuel.me/20240215_leaf/) 【プログラム】 ・開会挨拶 ・来賓挨拶 ・基調講演「難病に関わる社会的課題解決への取り組み」 ・部会1 パネルディスカッション「希少難病に関する検査施設と専門医の情報不足を考える」 ・部会2 パネルディスカッション「検索サイトの具体的な使い方の説明(事例)」 ・部会3 パネルディスカッション「今後必要な情報(治験・薬剤)」
◇部会2 パネルディスカッション「検索サイトの具体的な使い方の説明(事例)」
部会2のパネルディスカッションでは、各領域でこれまで行われてきた情報提供の事例も参考に検索サイトの狙いなどについて語り合った。発言要旨を紹介する。 ◇ ◇ ◇ *司会・プレゼンテーター:小原收先生(かずさDNA 研究所 副所長) 検索サイトは、「希少難病の専門医がいる医療機関、専門的な検査を実施している機関」の情報提供を目指している。(「小児希少難病の精査診療機関検索サイト」:https://angelsmile.scuel.me/) この検索サイトは、主に難病患者または難病の可能性がある患者を日頃診察しているかかりつけ医を対象としているため、患者・家族はまず担当医に相談していただきたい。検査実施機関の欄には、登録衛生検査所の情報も掲載されているが、登録衛生検査所は医療機関から受託して検査を行うため、患者・家族が直接検査の依頼を行うことはできない点には注意していただきたい。 また、この検索サイトには、関連する学会や研究班、患者会のリンクも掲載している。難病関連の情報検索の「入り口」として活用いただくことで、患者・家族にも有益な情報が得られると思う。 ●池川志郎先生(骨系統疾患コンソーシウム) 骨系統疾患とは、骨格(骨や関節)の難病、約700~800疾患の総称だ。難病の中でも多い分野の1つである。骨系統疾患コンソーシウムは、骨系統疾患の医療の改善と発展を目指すNPO団体だ。私たちは30年ほど活動してきたが、やはり問題は情報不足による患者・家族の難民化だ。骨系統疾患コンソーシウムはサイト経由での相談にも対応できる。患者さんもお医者さんも気軽に相談してほしい。 ●足立香織先生(鳥取大学研究推進機構 研究基盤センター 准教授) 遺伝学的検査検索システム(リンク:http://www.kentaikensa.jp/)では、D006-4として保険収載されている遺伝学的検査191項目について情報を公開している。もともとは難波栄二先生(鳥取大学研究推進機構 特任教授)が代表を務められた研究班により作成されたサイトで、現在は日本人類遺伝学会が運営を引き継いでいる。検査実施施設は施設名を明記している場合もあるが、受診が必要な場合は「お問い合わせください」としている。検索サイトと合わせてうまく利用していただきたい。 ●森雅亮先生(東京医科歯科大学 生涯免疫難病学講座/聖マリアンナ医科大学 膠原病・リウマチ内科 教授) 昨年まで「自己免疫疾患に関する調査研究班」で研究代表者を務めていた。研究班では全身性エリテマトーデス(SLE)など7疾患を対象に、ウェブサイト(リンク:http://www.aid.umin.jp/)を立ち上げて、関連する学会や患者会と情報を共有してきた。 日本リウマチ学会は、研究班で作成した若年性特発性関節炎患者支援の手引きを掲載している。日本小児リウマチ学会は、若年性特発性関節炎親の会“あすなろ会”と日頃から密接に連携しており、“あすなろ会”の情報収集が学会の災害対策活動の援助に大いに役立ったと思っている。“全国膠原病友の会”も関連する学会・患者会と連携しながら治験情報を掲載している。膠原病疾患では検査・診断に限らず、学会と患者会が連携して情報提供を行っている。 ●前田健太郎さん(ミーカンパニー株式会社 代表取締役) 多様な情報を収集して整備していくことはとても大事だと思っている。特にこのサイトは先生方や患者会の皆さんのさまざまな情報や思いが集まっている。今後はjRCTのデータを基にした治験情報の提供、あいまいな検索でも目指す情報に到達できる仕組みの構築も検討していきたい。