FDAが警鐘!タトゥーやアートメイクのインクに細菌が潜んでいることが判明
タトゥーやアートメイクを楽しむ人にとって、健康リスクをもたらす驚きの発見が報告された。アメリカ食品医薬品局(FDA)の最新の調査によると、タトゥーやアートメイクに使用されるインクの約35%に細菌汚染が確認され、これが感染症や健康被害を引き起こすリスクがあることが明らかになった。 〈写真〉FDAが警鐘!タトゥーやアートメイクのインクに細菌が潜んでいることが判明 ■タトゥーやアートメイクの人気とリスク タトゥーやアートメイクは、自己表現や美容の一環として世界的に人気がある。例えば、アメリカ国内だけで、タトゥーを1つ以上入れている成人は約30%にのぼると言われている。また、アートメイクに関しても、特に眉やアイラインの施術が年々増加している。しかし、これらの施術には、細菌感染や皮膚炎といったリスクが常に伴う。 ■インクの製造過程に起こっている細菌汚染が主な原因 FDAの報告書によると、タトゥーインクの製造過程における消毒の不備が細菌汚染の主な原因として挙げられている。タトゥーインクの製造・充填時に無菌状態が保たれていないと、製品に細菌が混入し、未開封であってもそのまま販売される危険性がある。また、ラベルに「無菌」と記載されているにもかかわらず、細菌が含まれていた製品も複数存在した。今回の調査では、米国内のタトゥーインク製造業者からランダムに採取したサンプルが検査され、そのうち13製品において細菌汚染が確認された。具体的には、以下のような細菌が見つかった。 ■■腐性ブドウ球菌 この細菌は、一般的には尿路感染症の原因となるが、タトゥーインクを通じて皮膚に侵入すると、膿疱性皮膚感染症を引き起こすことがある。 ■■アクネ菌 この細菌は、通常は皮膚に常在している無害なものだが、タトゥー施術による皮膚の傷口から侵入すると、炎症を引き起こし、治療が困難な場合がある。さらに、FDAの報告では、未開封のインク製品のうち50%で細菌汚染が確認されており、これが業界全体の製品安全性に大きな課題を提示している。 ■タトゥーやアートメイクの施術後に起こりうるリスク タトゥーやアートメイクの施術後、適切にケアをしなかった場合や、細菌汚染されたインクを使用した場合には、感染症のリスクが高まる。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、タトゥーによる感染症の発生率は1000件の施術あたり約1.1件とされ、稀なケースではあるが、重症化した場合には敗血症や心内膜炎といった致命的な合併症を引き起こす可能性がある。アートメイクはデリケートな部位、特に目の周りや唇に施されるため、感染症のリスクが高まることもわかっている。FDAは、2012年から2022年の10年間で、アートメイク関連の感染症報告が230件以上にのぼると発表しており、この数は今後さらに増加する可能性がある。 ■施術を受ける際の注意点と感染予防策 タトゥーやアートメイクの施術を受ける際には、感染症のリスクを最小限に抑えるための対策が必要だ。以下のポイントに注意して、施術を受けるようにしよう。 ■■信頼できる施術者を選ぶ 資格を持ったプロフェッショナルに依頼し、口コミやレビューをチェックして、衛生管理が徹底しているか確認しよう。 ■■衛生管理面のチェック 施術前にはサロンやスタジオが清潔かどうかを確認し、使い捨ての針や器具が使用されていることを確認することが大切だ。 ■■インク選び 無菌処理が行われているインクを使用することを確認し、信頼できるブランドや製品を選ぶことが重要だ。 ■■施術後のケア 施術後は、清潔な環境で適切なアフターケアを行い、感染症の兆候が見られた場合はすぐに医療機関を受診しよう。 出典: Study Shows Bacteria Is Lurking in Tattoo and Permanent Makeup InksTattoo and permanent makeup inks contain dangerous bacteria, FDA research revealsMany tattoo ink and permanent makeup products contaminated with bacteria, FDA finds 文/山口華恵
山口華恵