日本メディア「韓日、佐渡金山『強制労働』除外で事前合意」
「強制性の表現に関する議論はなかった」外交部の主張と相違
日帝強占期(日本による植民地時代)に朝鮮人強制動員が大規模に行われた日本の新潟県の佐渡鉱山(佐渡島の金山)が27日にユネスコの世界遺産に登録されたことをめぐり、韓国政府と日本政府が事前に「強制労働」という表現を使わないことで合意していたと報じられた。佐渡鉱山での朝鮮人労働者の強制性の表現問題については日本と協議しなかったとする韓国外交部の主張と相反しており、波紋が予想される。 読売新聞は28日、「『佐渡島の金山』(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録を巡り、日韓両政府は朝鮮半島出身者を含む労働者に関し、現地の展示施設で『強制労働』に関する文言を使用しない一方、当時の暮らしぶりなどを説明することで事前に折り合った」と報じた。同紙は「日韓は国交正常化60年を来年に控え、関係改善が進んでおり、両政府関係者には新たな火種を抱えたくないとの思惑が働いたとみられる」と補足した。 世界遺産登録は慣例上、韓国や日本などの世界遺産委員会の21の委員国の全会一致方式で決定されるため、「朝鮮人強制動員」に関して懸案がある韓国政府の賛成が佐渡鉱山の登録に決定的な役割を果たした。特にユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS、イコモス)が先月、佐渡鉱山について「全体の歴史」を反映するよう勧告して「保留」を決めたことで、両国の交渉において韓国が優位に立っていた。 読売新聞も「韓国は当初、佐渡島の金山は『戦時中、朝鮮半島出身者が強制労働させられた被害現場だ』と反発し、対応を求めていた」と明らかにした。しかし「日本は水面下の交渉で、強制労働の文言を使わない代わりに、現地の施設で常設展示を行い、戦時中に朝鮮半島出身者が約1500人いたことや労働環境の過酷さを紹介する案などを打診し、韓国が最終的に受け入れた」と報じた。 これは外交部のこれまでの主張と相反する。外交部の当局者は佐渡鉱山の登録過程で「強制性」が抜けたことについて、「強制性の表現問題はすでに2015年に整理された。表現問題について(今回は)日本と協議していない」と述べていた。 2015年7月に朝鮮人強制動員の被害があった端島(軍艦島)などが世界遺産に登録された際、日本政府は「本人の意思に反して」(against their will)動員され、過酷な条件のもと「強制的に労働」(forced to work)させられたと明言するなど、強制性を明確にしたことがある。韓国政府高官も27日、ラオスのビエンチャンで開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)関連外相会議で記者団に「改めて表現しなかっただけであり、(2015年の)過去の約束をそのまま守り続けるという意味が込められている」と述べた。 日本が「強制労働」などの過去の約束を守り続けるという韓国政府の説明も事実に反する。日本政府の関係者はこの日、産経新聞に佐渡鉱山の朝鮮人労働者の展示などについて、「(強制労働には該当しないという)日本政府の従来の立場を変えるものではない」と述べた。 外交部はこの日夕方、韓日間で「強制労働」を除外することで事前合意したという日本メディアの報道は「まったくの事実無根だ」と明らかにした。これに先立ち、外交部は記者団に「日本政府は、これまで世界遺産委員会で採択されたすべての関連決定とそれに関する日本の約束を念頭に置き、今後も韓国との緊密な協議のもとで、解釈と展示戦略および施設について引き続き改善するよう努力していく」という日本側代表の発言を参考にするよう述べ、その後、事実無根だと明言した。 野党は強く批判している。最大野党「共に民主党」のカン・ユジョン院内報道担当はこの日の記者会見で「日帝強占期に朝鮮人が強制労働に動員された悲劇的な歴史の現場(佐渡鉱山)が、軍艦島に続き、ふたたび世界的な名所として脚光を浴びることになった」と非難した。 東京/キム・ソヨン特派員、シン・ヒョンチョル記者、ビエンチャン/パク・ミンヒ先任記者、オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )