若くても「脳ドック」“受けたほうがいい人”の特徴 「どんな病気がわかる?」「費用は?」医師が解説
認知症に脳梗塞、そしてくも膜下出血の原因となる未破裂脳動脈瘤――。 こうした病気があるかどうかをチェックするのが「脳ドック」だ。健康保険が使えず、費用もけっこうかかる。気になってはいるが、受けるべきか悩んでいる人もいるだろう。 そこで、脳神経外科医で脳ドックにも詳しい金中直輔医師(かねなか脳神経外科院長)に、受けたほうがいい人や年代、そして理由について聞いた。 脳ドックとは、脳に関係するさまざまな病気のリスクを見つけることを目的に行われる健康診断の一種。メインとなるのは、「頭部MRI(磁気共鳴画像診断)」と「頭部MRA(磁気共鳴血管撮影)」などの画像検査だ。 【表で見る】表の7つの特徴に該当する人は脳ドックを受けたほうがいい
■CTとレントゲン、MRIの違い 画像検査というと、X線(いわゆるレントゲン)やCT(コンピューター断層撮影)を思い浮かべる人もいると思うが、何が違うのだろうか。 「MRIは磁気を利用して画像を撮影する検査法で、放射線によって画像を映し出すX線やCTとは撮影法が違います。放射線被曝がないのも特徴です」と、金中医師は説明する。 CTは出血した病変をとらえるのが得意で、脳出血やくも膜下出血が疑われる場合や、頭部外傷の検査に向いている。撮影時間も1~2分と短く、急いで撮影する必要がある救急診療に適しているそうだ。
一方、MRIは血管の異常も含めた病変を詳しく映し出す検査で、脳の病気全般がわかる。「予防医学にはMRI検査が向いている」(金中医師)という。 頭部MRAは、頭部MRIの画像から血管の画像だけを取り出し、コンピューター上で処理したもの。脳動脈瘤(脳動脈にできたふくらみでくも膜下出血の原因となる)や、血管の狭窄など、血管の細かい異常をとらえることができる。 「最低でも頭部MRIとMRAの検査ができなければ、脳ドックとはいえません。日本脳ドック学会の推奨する標準的なメニューにも、この2つの検査が含まれています。また、これは専門的になりますが、MRIの画像の精度でいうと、『1.5T(テスラ)以上のMRI装置が必要』とされています」(金中医師)