さよなら「トロバス」 立山黒部アルペンルート 国内唯一、運行29年で幕
富山、長野両県をケーブルカーやバスなどで結ぶ「立山黒部アルペンルート」で運行する国内唯一のトロリーバスが30日、ラストランを迎えた。1996年の導入後、運行区間の室堂駅(標高2450メートル)は「日本一高い鉄道駅」として多くの人に親しまれたが、設備の老朽化などを背景に今シーズンの廃止を決断。最終日の室堂は吹雪が舞う悪天候となったが、多くの人が「トロバス」目当てに現地を訪れ、別れを惜しみ29年の歴史に幕を下ろした。 【写真】最終便のトロリーバスに乗る人で混み合う室堂駅前 ●来年から電気バス トロリーバスは、架線から電力を得て、モーターで走る車両。法律上は鉄道の一種「無軌条電車」に分類される。アルペンルートを運営する立山黒部貫光(富山市)が所有し、室堂(標高2450メートル)―大観峰(2316メートル)間の3・7キロを約10分で走行する。 トロバスは当初、同じアルペンルートの黒部ダム駅(立山町)と扇沢駅(長野県大町市)間でも関西電力が運行していたが、設備の老朽化などを理由に2018年に廃止。以降は国内唯一のトロバスとして親しまれた。 立山黒部貫光もトロバスを巡り、設備の老朽化に加え、壊れた部品の調達が困難なことを背景に今シーズンの廃止を決定。同社によると、運行開始から累計で約1992万人が利用し、30日で営業を終了するアルペンルートの今季利用者数はコロナ前と同水準の約80万人まで回復した。 最終日の30日は午後からは通常より増便し、多くの人がバスを利用した。午後3時の室堂発最終便は、抽選で選ばれた200人が職員に見送られながら乗り込んだ。 来年から同区間の運行は電気バスに転換されることが決まっている。