こんな家建てなければ…二世帯住宅で娘家族と同居の「年金月28万円・60代夫婦」、理想の暮らしも束の間“全員不幸な結果”に。諸悪の根源は「魔のキッチン」【一級建築士が解説】
二世帯住宅は、一つの土地に二つの世帯が住むことができるため、土地の有効活用が見込めます。また、お互いをサポートし合えるというメリットも。しかし、いくら仲の良い家族であっても、家を建てる際、予算を削ってはいけないポイントがあるそうで……。本記事では、Aさんの事例とともに、二世帯住宅の注意点について一級建築士の三澤智史氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
仲良し家族なら二世帯住宅でも問題なし!?
愛情がたっぷり詰まった素敵な新居。きっと、家族みんなが笑顔で暮らせる……。 二世帯住宅には理想の空間が広がることを夢見ていました。ところが、実際に住んでみるとどこか違う……。3世代がともに暮らすはずの二世帯住宅が、なぜか家族にとって居心地の悪い場所になってしまいました。いまや、楽しい会話はもちろんのこと、全員が揃って食事をとることもなく、LDKはその役割を果たせずにいます。 なぜ、こんなことになったのでしょうか? それは、経済的な面ばかりに目が向いてしまい、家族一人ひとりの気持ちや、将来の暮らし方までしっかり考えていなかったのかもしれません。 古くなった親の家、東京には高くて買えない娘の家…合体して二世帯住宅に Aさんは、定年退職後、東京都郊外で趣味の読書やバードウォッチングに忙しい日々を送る60代の男性です。年金は夫婦合計の月額で28万円程度受け取っています。一人娘は電車で30分ほどのところに賃貸マンション暮らし。3人の子供を授かり、家族で幸せな日々を送っていました。 ある日、Aさんが孫の写真を自宅前で撮っていると、老朽化した我が家が目につきます。近隣の家と比べても自分の家だけが古く感じられたため、リフォームを決意しました。 一方、Aさんの娘は、都内の賃貸マンションに3人の子供と住んでおり、手狭な暮らしに悩んでいました。マイホーム購入を検討しますが、都内の新築は高額であるほか、営業をしていて帰りが遅い夫の仕事柄、都外への引っ越しは難しい状況です。 ある日、家族が集まって今後のことを話し合っていると、Aさんの家が老朽化していることや、娘夫婦が手狭な家に住んでいることが話題に。そこで、Aさんの家を二世帯住宅に建て替えるという案が生まれました。Aさん夫妻と娘婿との関係は良好です。結果、家族全員がこのアイデアに賛同し、すぐに計画を進めることになったのです。