今さら聞けない「脱デフレ」って何?/アベノミクスの政策は
政府は9月13日の月例経済報告で、景気の基調判断を2カ月ぶりに上方修正しました。「緩やかに回復しつつある」との表現はほぼ1年ぶり。企業の生産が好調で、設備投資や雇用環境が改善していることを反映しています。物価動向については、8月に引き続き「デフレ状況ではなくなりつつある」としましたが、景気回復の動きが一歩進んだ形となりました。 アベノミクスが始まって以来、「脱デフレ」という掛け声が飛び交っています。では、デフレとは何でしょうか? どんなデメリットがあるのでしょうか? そして、なぜデフレから脱する必要があり、そのために、政府は何をしているのでしょうか?
「デフレ」で何が悪いの?
デフレとはデフレーションの略語で、継続的に物価が下がっていくことを指します。「物価が下がればほしいものが安く買えて、いいじゃないか?」と思うかもしれませんが、社会全体で物価が安くなってしまったら大変です。誰かが払ったお金は別の誰かの収入になるのですから、めぐりめぐって社会全体の収入が減っていきます。企業の収益も減るので給与の削減やリストラが進み、どんどん悪化していきます。 デフレはダブル台風のようなもので、実はもうひとつ問題があります。今まで1袋1000円だった米が900円でしか売れなくなれば、米の価値が10%下がり、お金の価値が10%上がったことになります。仮に3000万円の借金をしてマンションを買ったあとでお金の価値が10%上がれば、借金の重圧は3300万円分となります。普通ここまで考える人はいませんが、住宅ローンや教育ローンを組んでいる人は、「なんだか前より苦しいな」と感じることでしょう。また、企業では銀行から借金しての投資をひかえるようになります。そのため、貨幣の流通量が減っていきます。 デフレ下では現金が最も価値があります。タンス預金でも銀行預金でもよいので1000万円を持ち、1年後にお金の価値が10%上がったとすれば(物価が10%下落すれば)、今までの1100万円分の買い物ができます。ただし、社会全体が暗い雰囲気に包まれるので、お金を持っていても得した気分になる人は少ないでしょう。 このようにデフレは社会的停滞につながるので、政府としては脱デフレを目指しているわけです。