夢物語ではなくなった“トランプ大統領” 政権入りしそうな顔ぶれは?
米大統領選は、テッド・クルーズ上院議員とオハイオ州知事のジョン・ケーシック氏の撤退により、ドナルド・トランプ氏が共和党の候補者指名を確実にしました。大統領選への出馬を表明した昨年6月から最近まで、トランプ氏は「トリックスター」や「泡沫候補」と考えられていましたが、トランプ人気の勢いは衰えるどころか、むしろ勢いを増しているようにも見えます。“トランプ政権”が誕生した際に政権入りする可能性の高い名前もすでに報じられ始めていますが、アメリカ国内外で“トランプ大統領”誕生を望まない声も連日上がっており、トランプ氏のこれからの動きにも注目が集まります。 【写真】これは“トランプ革命”の始まりなのか?
納税申告書の公開拒否にも批判集まる
5月5日に行われた英ロンドン市長選に当選し、初のイスラム教徒として初のロンドン市長に就任したパキスタン系のサディク・カーン氏は、市長選前の3日に米ワシントンポスト紙のインタビューに対し、「もし私が当選した場合には、駆け足で11月までにアメリカを訪問しますよ。トランプ氏が大統領に当選した場合、私がアメリカへの入国を拒否される可能性もあるのですから」とジョークを交えてコメントし、イスラム教徒への敵対心を煽るトランプ氏の選挙戦術を批判しています。 ロンドン市長選挙では保守党の選挙戦略チームがイスラム教に対する恐怖心を前面に押し出した、カーン氏に対するネガティブ・キャンペーンを展開しましたが、ロンドンの有権者は労働党のカーン氏を選びました。カーン市長は先週発売された米タイム誌のインタビューでも、「トランプ氏の政治へのアプローチがアメリカで勝利することはないと確信しています」と、改めてトランプ氏を批判しました。 “トランプ大統領”誕生の可能性が高まるにつれて、アメリカ国内外でトランプ氏に対する風当たりの強さが増していますが、アメリカ国内ではこれまでのイスラム教徒やメキシコ人に対する度を超えた攻撃的な発言に加えて、女性蔑視や納税の詳細を公開しない姿勢にも批判が集まっています。 義務化されているわけではありませんが、慣例として大統領候補者は自身の納税申告書を公開しており、すでに撤退した共和党候補者や民主党のヒラリー・クリントン氏もすでに公開に踏み切っています。トランプ氏は「他人には関係のない話で、大きなお世話だ」と、13日に放送されたテレビインタビューで納税に関する質問を一蹴しました。しかし、パナマ文書騒動の余波でトランプ氏がタックスヘイブンとして知られる米東部デラウェア州に法人を登記していた事実も明るみになっており、納税申告書の公開を渋るのには何らかの理由があるのではないかと勘ぐる米メディアは少なくありません。 米ニューヨークタイムズ紙は14日、過去にトランプ氏と仕事上の付き合いのあった50人以上の女性へのインタビューをもとにした記事の中で、トランプ氏の女性蔑視発言やセクハラについて大きく報じています。トランプ氏は翌日にツイッターで「ニューヨークタイムズはクリントン家の女性問題についても報じるべきだ」と反論しましたが、女性有権者からの支持がさらに低下するのは必至です。