28歳は女性の転機「女性にこそ学歴が必要」 中高生から自己決定力を育てる品川女子学院の教育と経営
◆女性に大切な「学習歴」
---品川女子学院は、今となっては知名度も人気も高まりました。卒業生の進路にも、国公立や早慶上理が増えています。 進学先よりも、その学部学科がすごく多様です。 理系も増えていますし、企業体験を授業に取り入れているので、マーケティングに興味があるから商学部系とか社会科学系に行く生徒が結構います。 学ぶ内容が多様であることが、1番興味深いですね。 女子こそ学歴が大事だと思います。 でも、「学校歴」じゃなくて「学習歴」だと思うんですね。 学校名は、出産や育児で休むとリセットされてしまうかもしれません。 でも、復職するときの履歴書に書ける客観的なスキルは、ずっとその子を助けます。 だから、そういう学科にこだわって力をつけていきます。 浪人もさせません。 安全に産める20代の時期を1、2年ロスするんだったら、学科にこだわって大学院や留学で勝負しろと言っています。 だから大学院への進学者も増えてきています。
◆28歳の転機、自分で決定する力を
---出産をはじめとする女性の転機を見越してアドバイスをしているのでしょうか。 そうですね。28歳をターゲットにしたいのですが、それは、女性の平均出産年齢の30歳の手前であり、海外赴任やチームリーダーを任される時期です。 私たちの時代は、どっちかをあきらめたのですが、両方できるようにしてあげたいのです。 私たちの時代は、そのときに人生の岐路が来るなんて、誰も教えてくれませんでした。 男の子と同じだと思って大きくなり、でも1回出産して休んだら、元の職場に戻れないということが、いっぱいありました。 逆に、子どもを産めなかったという人もいました。 ---28歳は日本の女性にとっては一つの重要なポイントですか。 そうですね。品川女子学院は2003年から、「28プロジェクト」を始めました。28歳の自分を思い描き、実現のためにどう行動すべきか、能動的に人生を設計できるよう生徒たちが模索します。 高1の秋の文理選択も一つの大きな岐路です。 その頃から、未来にアンテナを立て、社会の情報を与えておくことが女子教育には絶対的に必要です。 早め早めに準備をすることで、キャリアと出産を両方とも選べたり、順番を決めて実現したりできるようになると思います。 「28プロジェクト」のアンケートを、20代の卒業生に実施しましたが、やはり自分で決めた子のウェルビーイングは高いです。 年収やポジションではなく、自分で選択できているかどうかとかいうことが職業満足度と関わっているのが分かりました。 高校時代から自分の意思に基づいて行動すると、社会人になってからの職業満足度も比較群と比べて3割ぐらい高いのです。