「年収1200万円」と「年収800万円」でも、将来の年金額は変わらない!? 高収入でも安心できないのはなぜ? 理由を解説
高給取りと呼ばれるような会社員は、年金も十分にもらえると思われがちで将来の経済的な不安はないと考えているかもしれません。確かに年収が多いほうが将来的な年金受給額は増えますが、年金額には上限が存在します。そのため、現在高収入で支出も多い家庭は注意が必要です。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算 この記事では年金は最大でどれくらい受給できるのか、現役世代に高年収だった場合の注意点や対策を紹介します。 ※年金額は過去の状況や家族構成などによっても変わるため、ご自身の具体的な金額はお近くの年金事務所やねんきんネットなどでご確認ください。
厚生年金は月平均65万円以上の給与で頭打ち
厚生年金保険料額は原則として給与が多いほど段階的に増えていきます。ここでは標準報酬月額の決定方法などは割愛しますが、月の給与が約65万円以上で標準報酬月額は最大の32等級となり、保険料額はおよそ6万円です(図表1参照)。 図表1
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版) 各種手当(通勤手当や住宅手当など)も関係しますが、単純に計算すると32等級の年収は65万円×12カ月=780万円となり、この780万円が年金受給額の変わらなくなる一つの目安の年収になります。そのため、年収1200万円(月収100万円)と年収800万円では、年金受給額にほとんど違いはなくなります。
年金受給額の最大額は36~37万円程度
現実的にはこのような人はほとんどいないかもしれませんが、厚生年金の加入期間を最大(70歳まで)にして、先ほどの給与(厳密には賞与も影響します)をもらい続けると、厚生年金の受給額はおよそ30万円程度になるそうです。国民年金(老齢基礎年金)を含めた年金受給額の最大受給額は36万~37万円です。 逆に言えば、それだけ長期間高収入だったとしても年金受給は40万円にも届かないことになります。収入が多いにもかかわらず貯蓄が増えていない場合は要注意で、年金生活になると収入が減少するため、貯蓄も急速に減少するリスクが増えることになります。