「年収1200万円」と「年収800万円」でも、将来の年金額は変わらない!? 高収入でも安心できないのはなぜ? 理由を解説
重要なのは支出のコントロール
年収の多寡に関係なく、支出をコントロールすることは非常に重要です。快適な生活を体験すると以前の生活に戻ることが難しくなるように、ある時点から支出を急に小さくすることはできないと考えておきましょう。 年収が多くても少なくても、その収入に見合った支出にすることが重要ですが、その意味では収入が多かった人が支出を減らすのは、難しいことが多いのかもしれません。 とはいえ、支出の見直しは非常に重要なことなので、年金生活が始まる前から無理のない範囲で出費を見極めることをおすすめします。
対策が早ければ選択肢が増える
年金の繰下げ受給ができれば、安全かつ効率よく年金を増やすことができるので、収入増の手段としておすすめです。年金受給は最大75歳まで繰り下げることができるようになりました。繰り下げ月数×0.7%を増額して受け取ることができるので、5年なら42%、10年なら84%増額した金額となります。 例)65歳受給開始で年金受給額30万円(年間360万円)の場合 (1)70歳まで繰り下げ 0.7%×12ヶ月×5年=42% 30万円×1.42=42万6000円(年間511万2000円) (2)75歳まで繰り下げ 0.7%×12ヶ月×10年=84% 30万円×1.84=55万2000円(年間662万4000円) 2024年から新NISA(少額投資非課税制度)も始まりました。例えば、年金の繰下げ受給をするために必要な貯蓄額を試算し、新NISAを貯蓄の手段として利用することも考えられます。あるいは、できるだけ長く働くためにリスキリングに取り組むのもよいでしょう。早い段階から実際に行動を起こすことが重要で、収入増と支出減のどちらも選択肢が広がります。 年の初めは現在の状況や将来のライフプランを見直すいいタイミングです。高収入だからと安心せずに、まずはチェックしてみることをおすすめします。ご自身だけで検討するのが難しければ、専門家に相談するのもよいかもしれません。 出典 日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険) 日本年金機構 年金の繰下げ受給 執筆者:御手洗康之 AFP、FP2級、簿記2級
ファイナンシャルフィールド編集部