６２年ぶりに開催された勧進大相撲で協会挨拶する石川、富山県出身の（手前左から）元出島の大鳴戸親方、元栃乃和歌の春日野親方、元栃乃洋の竹縄親方、（後列左から）輝、大の里、朝乃山、遠藤、欧勝海（カメラ・今西　淳）

　日本相撲協会は１６日、東京・両国国技館で、能登半島地震の復興支援を目的とした「勧進大相撲」を開いた。勧進相撲とは、相撲を披露することで、寺院や神社などの建立、修繕などの寄付を募ること。「勧進相撲」として開催されるのは、１９６２年に大阪で「四天王寺復興勧進大相撲」が開かれて以来、６２年ぶりとなった。今回の勧進大相撲では、入場料の全額などを被災地に寄付する。 　石川・穴水町出身の幕内・遠藤（追手風）は「こういった形で興行ができて、すごく感謝しています。被災した場所の復興は時間がかかりますし、そんなに大きく変わっていないと聞いていますけど、皆さんが前向きに、元の日常に戻ろうという気持ちがすごく伝わってきています」と話した。 　この日は開演前に関取衆が館内に分散して来場者を出迎えてファンサービスを行ったほか、関脇・大栄翔（追手風）や石川・七尾市出身の十両・輝（高田川）らによる「のど自慢」コーナー。音羽山親方（元横綱・鶴竜）、清見潟親方（元関脇・栃煌山）、東関親方（元小結・高見盛）らによるＯＢ戦や関取の取組などが行われた。観衆は約７０００人だった。 　石川・津幡町出身の幕内・大の里（二所ノ関）は「こういう場を協会が設けていただいたことは、うれしいし、ありがたいことです」と感謝。２月には石川県出身の関取衆らと被災地を慰問し、被害の状況などを目の当たりにした。「実際に能登の光景を自分の目で見るのとテレビで見るのとでは全然違いましたし、衝撃を受けました」と振り返った。３月の春場所は優勝争いにも加わり、１１勝をあげた。「たくさんの避難している方々に逆にパワーをいただいて、春場所でいい成績を残せました」と地元の応援に頭を下げた。 　内灘町に住む祖父は、いまだに避難所生活が続いているという。「本場所で勝つことが一番の元気を届けることだと思うので、夏場所に向けて頑張りたいですね」と誓っていた。