あこがれの白馬岳縦走登山へ! 楽しく歩きながら、しっかり学ぶ。コロンビア登山学校の「登山講座」に密着
担当講師、伊藤伴さんに聞いてみた
白馬岳登山の講師を務めた伊藤伴さんにも、コロンビア登山学校でガイドする際に意識していることや、今回の山行で意識したこと、また登山学校の今後の展望について伺ってみた。 ―――コロンビア登山学校ではどんなことを意識していますか? 「学長にもいつも言われていますが、コロンビア登山学校では“学び”を意識しています。参加したことでなにかを学び、知識を得られてよかったと思えるような話を山行中にも盛り込むようにしたり。歩き方であったり、海外の山の話や、ときには山に関係ないことも話したりします」。 「たとえ天気が悪くても登山学校は基本中止にしません。先日もテント泊の回のときに雨だったのですが、雨天のときの撤収の仕方だったり、そのシチュエーションに応じて学べることを伝えられるように意識しています。そこがほかのガイド山行と差別化しているところですね」。 ―――今回の山行はどんなことに意識しましたか? 「基本的な道具の扱い方であったり、靴紐の結び方、バックパックの背負い方、下りの歩き方など、ふだん無意識にやっていることを言語化し、どうしてこのようにしたらいいのかという理由も含めて掘り下げて、ていねいに説明し、より理解を深め、自分で考え行動に起こせるようにしてもらえるようにと意識しました。ふつうのガイドツアーであれば、目的が違うのでそこまで伝えませんが、登山学校ではそこが重要だと思っています。通常のツアーで1泊2日で行けてしまうところを2泊3日にしているのも、そういった説明の時間をたっぷりとっているためでもあります」。 ―――参加者にはどういったことを学び、感じてほしいですか? 「これから自身で登っていきたいのであれば、経験や知識を積み上げていくためにガイドがどういう動きをしているのか観察していただきたいですし、悪天候時の状況判断など、自身の安全管理をしっかり学んでもらいたいですね。ガイドから学べることはたくさんあります。日本ではガイド山行はまだまだメジャーではないですが、山の知識を持ったプロと山に登ることでおもしろい話が聞くことができて、自分ひとりでは挑戦できない難しい山にも挑めます。ぜひこの場を利用して挑戦し、ガイドから得られるものを吸収してほしいですね」。 「自分で判断して自分で山に行けるように。道具選びであったり、靴紐の結び方ひとつをとっても大切なスキルです。靴選びに失敗して靴擦れができてしまったり、ペース配分がうまくいかず、バテてしまって全然楽しめなかったり。スキルや知識がなければ、山を嫌いになってしまうこともあります。『山のスキルを磨けば、山頂はもっと近くなる』というキャッチコピーをかかげていますが、まさにそれが大切ですね」。 ―――コロンビア登山学校を今後どのように発展させていきたいですか? 「当初は高みを目指すことを目標にしていましたが、ちょっと山をやってみたいけど、どこに行ったらいいかわからない、どうやって始めたらいいのかわからない、といった登山者予備軍をもっと増やしていきたいですね。登山学校はその窓口として、エントリー層がさらに入ってきやすい場所であったらいいのだと思います」。 「いままで僕自身、ガイドとして難しい山を案内したいという気持ちが強くありましたが、登山学校の講師として関わってから、これから始める登山者ももっと増やしていきたいという思いも芽生えました。登山人口を増やして、ゆくゆくはそこから高みを目指す登山者がもっと増えてくれればうれしいと思っています。単純に、このキレイな景色を見てほしいじゃないですか。アウトドアを楽しめる人がもっと増えたらいいですよね」。 コロンビア登山学校の公式ウェブサイトはこちら。 編集◉PEAKS編集部/文◉阿部 静/写真◉宇佐美博之
PEAKS編集部