トランプ氏2期目の外交原則…失敗の恐れがある海外には米軍派遣せず(2)
◆「米軍、失敗の恐れがある海外の脅威に派兵せず」…在韓米軍の負担懸念 インタビューでゼルディン氏は米軍の運用に関連し「外国での戦争を終わらせ、米国の防御に焦点を置く」とし「(米軍が)失敗する恐れがある海外の脅威に米軍を派遣しないという点を(同盟も)理解しなければいけない」と強調した。 これについては在韓米軍など海外派兵の見直しを示唆したものという解釈が出ている。トランプ氏が在韓米軍撤収の可能性を念頭に置いたり、在韓米軍撤収と防衛費再交渉を連係したりする構想を持っているということだ。実際、トランプ氏は選挙期間中に韓国を「マネーマシン(money madhine)」と呼び、「私が大統領だったなら韓国は毎年100億ドル(約1兆5000億円)を支払っているはず」と主張した。100億ドルは韓米が合意した分担金の9倍にのぼる。 ただ、ゼルディン氏は「トランプ氏は『友人は友人、敵は敵として対応する方法』を知っている」と話した。また「トランプ氏はNATO(北大西洋条約機構)をなくそうとするのでなく、同盟国が公正に負担してNATOをむしろ強化しようとする」と同盟国の防衛費引き上げの必要性を力説した。 米軍の派兵縮小と同盟国の安保力量強化は相反する部分がある。これに関連し、トランプ氏が断行する行政命令の草案として評価されるAFPIの安保アジェンダには「中国に対応するために東アジア同盟国が先端軍事能力を備えるよう積極的に支援する」という内容と共に「核抑止力を強化して現代化する」という内容がある。同盟国の独自の防御能力改善を念頭に置いている可能性がある。 実際、安保分野で主要な役割をする可能性があるエルブリッジ・コルビー元国防副次官補(戦略・戦力開発担当)は4月、中央日報のインタビューで「在韓米軍を中国牽制に活用する代わりに、韓国の独自核武装を考慮する必要がある」と話した。 ◆「重要なのは時間…金正恩委員長はトランプ氏の本心を知っている」 インタビューでゼルディン氏は「トランプ氏に最も重要なのは時間」とし「不法移民だけでなく中東とウクライナの危機、特に中国問題をすべて最優先順位とし、就任初日から同時に解決するだろう」と述べた。そしてイランとの核合意に言及しながら「トランプ氏は(退任で)中断した地点から再び始めることになるはずであり、過去の任期よりはるかに大きな成果を出すことになるだろう」と強調した。 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との対話再開には直接言及しなかったが、「トランプ氏の本心を誤解する同盟国とは違い、金正恩委員長とイランの指導者はトランプ氏の本心を理解している」と述べた。フレッド・フライツAFPI副所長は5月の中央日報のインタビューで「トランプ氏は就任と同時に平壌(ピョンヤン)に代表を送って首脳会談を議論するはず」と話した。 トランプ氏は大統領選挙期間中に「金正恩と良い関係を維持した」という言葉を繰り返し、金正恩委員長との対話再開の可能性を残した。半面、国務長官への抜てきが有力なルビオ氏は過去に金正恩委員長を「狂っている」とし、2018年の朝米首脳会談についても「北朝鮮の非核化は楽観的でない」と否定的な立場を明らかにした強硬派だ。しかし最近のインタビューでは「世の中の変化が早く、我々も海外でどう投資して何をするのか実用的かつ賢明になる必要がある」とし、実用外交への転換に言及した。 しかし大統領選挙直前に公開された共和党の政策綱領には「北朝鮮の非核化」という対北朝鮮政策の目標が抜けていて、北朝鮮を事実上の核保有国と認定した状態で米国に直接脅威となる大陸間弾道ミサイルの制限などを進めるのではという懸念が続いている。 ハドソン研究所アジア太平洋安全保障部長のパトリック・クローニン氏はこの日、中央日報に「両国首脳の電話の時点と長さだけでなく対話内容が非常に前向き」とし「最初の電話で韓国の積極的な対米投資や造船など防衛産業協力を強調した点は、韓国がより中枢的な役割をする可能性を示唆する」と評価した。ただ、クローニン氏は「トランプ氏の特性上、混乱を招くような形の重大政策変化が考えられ、韓国も自由でないかもしれない」と話した。