中国が台湾に圧力-頼政権発足控え政治コメンテーター5人に制裁
(ブルームバーグ): 中国政府は15日、台湾の政治コメンテーター5人に制裁を科し、「分離主義者」を処罰する法律を制定すると発表した。台湾総統選を制した頼清徳副総統の総統就任式を20日に控え、台湾に対する圧力を強めている。
中国国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は北京での定例記者会見で、台湾で放送されている政治トークショーの常連である5人の発言について、台湾の「一部の人々を欺き、台湾海峡両岸の敵意と対立をあおり、両岸同胞の感情を傷つけた」と主張。5人への制裁を講じるととともに、分離主義者と見なした人物を罰する新法を中国は導入すると明らかにした。
5人のうちの1人は、台湾の最大野党、国民党に所属していた李正皓氏。元総統候補を批判し同党から追放された李氏は、国民党の正式名称である「中国国民党」から「中国」を外すよう提案をしたこともある。
陳報道官はまた、頼氏は平和もしくは「挑発と対立という悪の道」のどちらかを選ばなければならないとも述べた。
1月の台湾総統選では与党の民主進歩党(民進党)から出馬した頼氏が勝利。中国によるこの日の動きは、8年間の蔡英文政権下で見られたような中台対立が続く可能性が高いことを示している。
民進党を中台を戦争に向かわせる分離主義者として非難している中国は蔡政権との高官協議を拒否。蔡総統は人口2300万人の台湾が中国の一部であるという中国の主張を認めていない。
陳報道官は新たな制裁措置の詳細には触れなかったが、2021年に当時の台湾要人3人を対象にした制裁と同様のものになると説明。
この時は台湾の行政院長(首相)と外交部長(外相)、立法院長(国会議長)とその親族による中国本土と香港、マカオへの訪問が禁じられた。本土に拠点を置く組織や個人と協力することも認められず、3人に関連する企業が本土で利益を上げることも禁止されたが、こうした制裁はほとんど象徴的な措置に過ぎない。
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