中後新体制で初勝利。ジーコ氏も見守った“鹿島イズム”が感じられたゲームは今後につながるのか
川崎に“シーズンダブル”を達成
[J1第35節]川崎 1-3 鹿島/11月1日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu 【動画】川崎×鹿島のハイライト ミックスゾーンではジーコ氏の笑顔が見られた。 ブラジル人選手らと談笑しながら、川崎の鬼木達監督とも健闘を称え合う。 前節から中後雅喜監督の下で再出発した鹿島にとっては、新体制で嬉しい初勝利だ。クラブアドバイザーを務めるジーコ氏も胸をなでおろしたことだろう。 中後監督の初陣は福岡とドローだったものの、続くこの日の敵地での川崎戦は序盤から激しいプレッシングで、相手のパス回しを寸断すると前半だけで3点のリードを得た。 後半は幾度となくピンチを迎えたが、終盤には4-4-2から5バックに布陣変更するなどして試合を締めにかかる。90+2分には山本悠樹に直接FKを決められるも、3-1でゲームを制した。 “鬼門”等々力では2015年を最後に勝利がなかったという。春先でのホームでの一戦も含め、ここ数年は苦しめられてきた“鬼木フロンターレ”にシーズンダブル(2連勝)を収めたのも感慨深いだろう。 中後監督は「長く勝てていないこのスタジアムでしっかり勝利をするために、見ていただいた通り、選手たちがハードワークしてくれたというのが非常に良かったです。また、自分たちが狙っていたところが前半しっかり出たゲームだったと思っています。後半は、やはり攻撃力があってクオリティの高い選手が多いフロンターレさんに苦しめられたというのは、まだまだやるべきことがあるなと試合が終わったときに思いました。ただ、やっぱりみんなが頑張ってくれたことが結果につながったと思います」と喜びを語りつつ、自身の指揮官として初勝利に関しても続けた。 「当然嬉しいです。ただ、やはり選手がハードワークしてくれたこと、あとはコーチングスタッフ、メディカルスタッフ含めて、みんなで奪えた勝利だと思うので良かったです」 指揮官の言葉通り、この日の鹿島は、目の前の勝利にこだわる強い姿勢を見せ続けた。 4-4-2において、鈴木優磨と2トップを組んだ23歳の師岡柊生は走りに走りまくって川崎にプレスをかけ、それに呼応するかのようにチーム全体もインテンシティの高い組織的なプレーを披露。 前述通り終盤には5バックに布陣を組み換え、右ウイングバックに入った20歳の津久井佳祐は気持ちの入った守備で川崎の反撃を食い止めた。相手を止めるたびに熱く三竿健斗から称賛された姿も印象深い。 その意味でも目の前の勝負にこだわり、個々がチームのために、仲間のために戦い続ける“鹿島イズム”が垣間見えたゲームであったと言えそうだ。 ジーコ氏が見守るなかで、そんなゲームができたことにも意味があるのだろう。中後体制は今季終了までで、来季は新監督を招聘し“鹿島らしさ”を改めて追い求めるという。 その再出発を後押しするような勝利だったと評せそうだ。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)