がん告知後のメンタルはどうなるのかご存じですか? 心のケアや不安との向き合い方も医師が解説
相談時の注意点
編集部: 精神腫瘍医は、具体的にどのようなことをするのですか? 平山先生: まずは、患者さんが抱えている心の問題、がんの経過、これまでにどんな治療を受けどんな治療が予定されているかなどを伺います。そして、体の状態や患者さんのご希望に沿って、治療方針を決めていきます。主な治療方法は、カウンセリングと薬物療法です。 編集部: がんの治療中ですが、不安や不眠などの症状に対する薬を服用しても問題ないのでしょうか? 平山先生: 精神腫瘍医であれば、がん治療の薬との相互作用についても十分な知識を持ち、細心の注意を払っています。また、がん治療とのバランスを考えて適切な薬を安全に処方するので、安心してください。 編集部: 心のサポートを受けるにあたり、がん治療の主治医に許可を取る必要はありますか? 平山先生: 基本的には、主治医の許可がなくても診察は可能ですが、やはりがん治療の主治医の先生と円滑な連携が取れた方が、よりスムーズに診療をおこなうことができます。当院では主治医からの紹介状などがなくても対応可能ですが、紹介状が必要な医療機関もあるので、相談する際にはHPなどで事前に確認しておきましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 平山先生: がんの治療に伴う精神的不安などは、1人で抱え込まないことが重要です。身近に相談できる人と話すだけでも緩和されると思いますが、がんと上手に向き合うためにも、ぜひサイコオンコロジストなどの専門家を活用してみてください。「どこに相談したらいいのかわからない」という人は、日本サイコオンコロジー学会のHPに、精神腫瘍医のリストがあるので、在籍している近くの医療機関を探してみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
がん患者さんの「心のケア」について解説していただきました。がん患者さんの不安や葛藤に対し、個々の状況に応じたサポートをおこなってくれるサイコオンコロジストという専門家が存在するとのことでした。患者さんが、がんと上手く付き合っていくためのサポーターとして、サイコオンコロジストの役割は今後ますます重要になってくるでしょう。今、ご自身やご家族ががんに関する不安を抱えている場合は、一度お近くの精神腫瘍医を学会のHPで探して、相談することをおすすめします。
監修医師:
平山 貴敏 先生(こころサポートクリニック) 三重大学医学部医学科卒業。その後、東京大学医学部附属病院精神神経科入局、JR東京総合病院メンタルヘルス・精神科、東京都立松沢病院精神科、国立がん研究センター中央病院精神腫瘍科などで経験を積む。2024年、東京都千代田区に「こころサポートクリニック」を開院。日本精神神経学会専門医・指導医・認知症診療医、日本総合病院精神医学会専門医・指導医、日本サイコオンコロジー学会登録精神腫瘍医。日本認知・行動療法学会、日本緩和医療学会の各会員。