10年前に妹を殺害された男性が講師「今も形容しがたい喪失感」…犯罪被害者支援ボランティア養成講座
昨年度、センターに寄せられた相談は計1501件。うち1288件は「ゆあさいど」で、強制わいせつや不同意性交といった性犯罪に関する内容が85%を占め、幅広い年齢層の中でも10歳代以下は31%となっている。
昨年7月に施行した改正刑法では罪名の変更のほか、処罰要件が見直された。例えば、強制性交罪の成立には「被害者の抵抗を著しく困難にする程度の暴行や脅迫を用いること」が必要だったが、改正後は、虐待や立場による影響力といった行為や状況も明記された。
成立要件の変更で、性犯罪の認知件数は増加している。県警によると、23年の強制性交・不同意性交の認知件数は47件(前年同期24件増)で、強制わいせつ・不同意わいせつは70件(同25件増)に上る。
「ゆあさいど」への相談は、24時間受け付けるホットライン(096・386・5555または#8891)へ。支援センターへの相談はホームページからできる。
記者も受講「自分にできる支援」考えた
くまもと被害者支援センターが主催した全6回の講座に、記者も参加した。犯罪被害者週間(25日~12月1日)を前に「自分にできる支援」を考えた。
講座では、「優しさによる言動が被害者を再び傷つけることがある」というセンター職員の言葉が胸に残った。事件で大きな悲しみを抱える中、被害者やその関係者は捜査機関から事情聴取を求められ、周囲の目にさらされ、インターネット上で誹謗中傷を受けることもある。
事件や事故の取材を担当して1年半が過ぎた。「知らぬ間に被害者を傷つけたくない」からこそ、記者も受講し、学びを深めたいと考えた。様々な立場で支援する人たちの話を聞いた。心配の言葉が時に「二次被害」となり、被害からの回復を妨げることにもなり得ることを知ることができた。
報道を通して事件や事故の未然防止を訴え、新たな被害者を生まない社会づくりに貢献したい。それが「自分にできる支援」だと信じている。(中村由加里)