「あんな悲惨なの見たくないんや」能登半島地震で避難した親子は離れ離れに…みなし仮設住宅とふるさとへの思い
安全な生活とふるさとへの思い
そんな暢子さんの姿を見た行雄さんは「元気やったわ、よかったです。ますます元気になって。やっぱ生まれたとこが一番いいんやと思います」と笑顔で話した。地震前、約400世帯、800人が暮らしていた大谷地区。今は約150世帯、250人と3分の1ほどに減ってしまった。同じ班の住民もほとんどが町を出ている。 こうした状況に行雄さんは「みんな仲いいげんて。気が合う。ショックやよね、おれだけぽつんと帰ってきてもだめやわ。誰もおらんし」と嘆いた。地域で唯一のスーパーも倒壊したままだ。「スーパーあったらおれも帰ってくるかもわからん。もっと帰ってくる人おるかも。よく話して気も分かっとるし、それがいいげんて。小松の店行ったって、レジでしゃべるわけにいかんやろ」。 しかし小松でのみなし仮設生活も捨てがたいようだ。「こっちいいなと思ってもまた何日かしたら、やっぱりみなしにおると便利でいいなと思ったり。まだ不安定ですね、ふわふわと。もうちょっと時間がほしいですね」。安全な生活と、ふるさとへの思い。地震によって選択を迫られた行雄さんの心は今も揺れ動いている。 (石川テレビ)
石川テレビ