青木美沙子インタビュー:平成から令和へ、進化するロリータファッションの現在
年齢性別問わず、ロリータファッションに入ってもらうきっかけを作りたい
現在、青木さんはファッションセンターしまむらとのコラボレーションを始めとして、年間多くのブランドとコラボレーションをしている。ロリータファッションモデルとしての顔だけではなく、プロデューサーとしても今まで蓄積された知識と経験を生かし、ロリータファッションを未来へ繋げるために多忙な日々を送っているが、ビジネス面において特に意識していることがあるという。 「たとえば、ピンクハウスのデザインを考えたときは、胴を普通の位置にしてもらいました。本来のピンクハウスは、腰がかなり下の位置で、重ね着をして完成するファッションなのですが、結構初心者には難しいと思いまして。 またアイテムを全部揃えるのもハードルが高いと思ったので、胴を普通の位置にしてもらって、1枚でピンクハウスのスタイルが完成するワンピースを作らせてもらいました。私はロリータちゃんの1個上の世代として、ピンクハウスを取り入れてもらいたいという気持ちがあったので、デザインはすごく考えましたね。デザインをするときには、着てくださる方の背景も考えるようにしています」 各ブランドとのコラボレーションも第1弾から第2弾…と続いており、単発的なコラボレーションではなく、その継続にも驚いてしまう。数多くの商品アイディアはどこから湧いてくるのだろうか。 「多分、ロリータファッションを世界で一番着ていると思うので、そのときの流行や求められているものがわかるのだと思います。今まで何千着とロリータファッションを着てきたので…。ですので、各種コラボなどでも、何が売れるのかというのはなんとなくわかりますね。私がロリータファッションに触れてきた経験値で、ロリータちゃんが“今”求めているものにアプローチできているのだと思います」 周知の事実だが、青木さんのSNSでの発信は度々トレンドに入る。彼女のロリータファッションに対するポジティブな考えやブランドのPR、またしまむらとのコラボレーションも毎回話題になっているが、SNSとの向き合い方にもその真摯な姿勢が伺える。 「何社もお付き合いがあるので、ビジネスライクになってしまうところもありますが、どのブランドも好きなのでやっぱり継続してもらいたい思いが一番にありますね。継続するにはやはり売れないとですし、新作を作るにしても売れないとダメですから。 旬や流行は移り変わるものなので、アイテムも生まれては消えていきますが、無くなったら無くなったで、買っておけばよかったと後悔してしまう。ですので、たくさん宣伝をするようにして自分にも後悔がないようにしています。 またSNSの発信時は、同じコーディネートにならないように気をつけていますね。なるべく、いろいろな着こなしを提案して、ロリータちゃんたちの参考になるように努めています」 平成から令和にかけて、バトンのようにロリータファッションが未来に受け継がれているなか、これからロリータファッションを始めたい方に向けて、「年齢性別問わずロリータファッションに入ってもらうきっかけを作りたい」と青木さんは話す。 「今までのロリータファッションは、ルールの縛りや着こなしも厳しいイメージがあったと思いますが、私もプチプラとコラボなどもしているので、もっと気軽に年齢性別問わずロリータファッションに入ってもらうきっかけを作りたいなと思っています。 それこそ、しまむらとのコラボも含めてですが、いろいろなところでロリータに触れる機会があればぜひ挑戦してもらいたいと思いますね。年齢でロリータファッションを諦めてしまう方も、私の活動がきっかけでロリータファッションの世界に飛び込んでもらえたらとてもうれしいです」