青木美沙子インタビュー:平成から令和へ、進化するロリータファッションの現在
『下妻物語』がフックに 2000年代のロリータファッション
青木さんと筆者は同学年だ。言い換えると、それは1990年代からストリートや雑誌などでロリータファッションを見てきた世代ということでもある。ロリータファッションは、1990年代からひとつのジャンルとして存在していたが、筆者の印象だと2004年に公開された『下妻物語』からロリータファッションがより盛り上がってきたと感じる。1990年代と2000年代、平成と令和でも、ロリータファッションの流行に変化はあったのだろうか。 「やっぱり『下妻物語』の影響力は大きかったですね。2004年に映画が公開されて、深田恭子さんが着こなすロリータファッションでかなりポジティブな印象になったように思います。 2000年代に入る前のロリータファッションは、どうしてもニッチなファッションという印象が強くてあまり良いイメージは持たれていなかったですね。1990年代からひとつのファッションジャンルとして確立していたと思いますが、それでもブームの浮き沈みはありました」
「ロリータファッションは一見、同じように見えるかもしれませんが、平成と令和を比べるとだいぶ変化したように思えます。外見的なところでは、2004年頃のロリータファッションは膝丈が主流でしたが、今はロング丈が人気ですね。当時の膝丈はギリギリ膝が見えるといった、絶対領域のような感じでした。 また当時はジャンパースカートとブラウスの組み合わせが定番でしたが、それが今ではワンピースの方が人気になるなど、素材でも綿素材が主流でしたが、最近は伸縮性のあるナイロン生地のロリータファッションも増えてきましたね。お手入れのしやすさ、着心地のよさも令和からは重要視されているように思えます」 2000年代初めは、深田恭子が『下妻物語』で着用していたような、レースと刺繍がたくさんついたトラディショナルなロリータファッションが人気だったが、2010年代からはパステルカラーやマカロン、派手な髪色といったポップな印象のロリータファッションが人気になってきた。そして最近ではまたクラシカルなロリータファッションがブームになってきているとのこと。 「その一方で、Y2Kのような流行回帰がロリータファッションでも起きていて、ちょうど映画で深田恭子さんが着用していた、BABY, THE STARS SHINE BRIGHT(ベイビー、ザ スターズ シャイン ブライト)のようなロリータファッションも再注目されていますね」