ゴラン高原の緩衝地帯占拠は「防衛上必要」 イスラエル
【AFP=時事】イスラエルは12日、ゴラン高原のシリアとの緩衝地帯占拠は「防衛上の理由」から必要だったと説明し、今後も「自衛のための行動を続ける」と宣言した。 【写真】イスラエルのシリア猛攻撃 「最悪の事態」を想定 専門家の見方 シリアでイスラム主義組織主導の反政府勢力がバッシャール・アサド政権を崩壊に追い込んだのを受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は8日、ゴラン高原のシリア支配地域にある緩衝地帯の「占拠」をイスラエル軍に命じた。 イスラエル外務省のオレン・マーモスタイン報道官は12日、X(旧ツイッター)で、「国境付近で活動するイスラム過激派組織による脅威を受け、防衛上の理由から必要だった」と説明。「イスラエルは自衛のための行動を続け、必要に応じて国民の安全を確保していく」と続けた。 イスラエル首相府は同日、アサド政権の崩壊によってイスラエルの国境と緩衝地帯に「空白」が生じたと主張。 「そのためイスラエル軍が緩衝地帯に入り、イスラエルの国境付近の戦略拠点を掌握した」「これは、1974年の兵力引き離し協定に取り組む部隊が創設され、国境の安全が保障されるまでの一時的な措置だ」と説明した。 これに先立ち、国連(UN)や中東諸国に続き、フランスもイスラエルに対し、緩衝地帯から軍を退くよう求めた。 フランス外務省の報道官は11日、イスラエルによる緩衝地帯占拠は1974年の兵力引き離し協定に違反するものだと指摘。「フランスはイスラエルに対し、緩衝地帯から撤退し、シリアの主権と領土保全を尊重するよう求める」と述べた。 ネタニヤフ氏は先週末、兵力引き離し協定は無効だと宣言し、緩衝地帯とその先の戦略拠点を占拠するよう軍に命じた。 マーモスタイン報道官はこの動きについて、2023年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエル南部に対して実施したような攻撃を防ぐために必要な措置だったと説明。イスラエルの介入前に、協定違反があったと主張した。 マーモスタイン氏によれば、イスラエルのギデオン・サール外相が今週、フランスのジャンノエル・バロ外相とこの問題について協議した。 イスラエル軍は先週、緩衝地帯で国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)が武装集団による襲撃を撃退するのを支援したと発表。国連も武装集団がUNDOF基地の一つに侵入したと認めている。 イスラエルは1967年の第3次中東戦争(6日戦争)で、ゴラン高原の大半をシリアから奪取。1973年の第4次中東戦争でもその部分を保持し、1981年に併合を宣言した。だが、イスラエルの併合を承認したのは米国のみとなっている。【翻訳編集】 AFPBB News