「ウクライナに灯りをともし続ける」、命をかけた発電所職員の奮闘
ウクライナでは、ロシアの攻撃でインフラ施設が被害を受ける中、残っている発電所の労働者らは命を危険にさらしながら、電気供給を続けるため奮闘している。リーダーは「前線は東部にもあるが、我々の前線はここだ」「ミサイルが飛んでくると分かっていても、我々はここにとどまる」と覚悟を口にした。 ここはウクライナの某所にある火力発電所。ロシアのミサイルが飛来した際も、少数の作業員がとどまった。システムの稼働を手動で維持するため、土のうで守られた制御室で作業を続けている。安全上の理由からこの施設の所在地は非公開だが、今年ミサイル攻撃を受けた。 侵攻から3度目の冬、ロシアは電力網への空襲を再開した。シフトリーダーのセルヒーさんは、ここで30年以上働いている。 「我々は週7日、24時間体制で働いている。前線は東部にもあるが、ここが我々の前線だ。我々の任務は、国内に確実に電力を供給することだ。ミサイルが飛んでくると分かっていても、我々はここにとどまる。発電所が稼働し続けるため、我々はここに残らねばならない」 11月のミサイル攻撃により、壁には穴が空き、設備は荒廃した状態だ。損傷した屋根からは水がしたたり、床にはロケットの破片やねじれた金属板が転がっている。この施設は通常、数十万人に電気と暖房を供給。ウクライナ最大の民間電力会社DTEKが所有する火力発電所のうち、残るのは5つ。ここはそのうちの1つだが、常に大規模な修理が必要な状態だ。 11月の攻撃により緊急作業が増えたが、セルヒーさんは決意を固めている。 「状況はだんだん悪化しているが、何とかやっている。予備品を見つけたり、できるだけ早く機材を修理する方法を皆で話し合っている」 ロシアは民間インフラへの攻撃を否定しているが、ウクライナの電力システムは正当な標的だとみなしている。春に電力網への攻撃が始まってからエネルギー施設は大きな被害を受け、真冬に長時間の停電が発生する可能性が高まっている。気温はすでに零度前後だが、祖国に灯りをともし続けるため、できることは何でもすると言う。