米CPI、11月は前年比2.7%上昇 伸び2カ月連続で加速
Lucia Mutikani [ワシントン 11日 ロイター] - 米労働省が11日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.7%上昇し、伸びは前月の2.6%から加速した。 前月比は0.3%上昇し、7カ月ぶりの大幅な伸びを記録したが、労働市場の鎮静化と家賃の伸び鈍化を背景に、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ実施に妨げとなる可能性は低い。 前年比、前月比とも市場予想と一致した。 モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントの首席経済ストラテジスト、エレン・ゼントナー氏は「FRBの来週の利下げに『万全』の姿勢を示した。一方、1月の利下げは引き続き議論の余地がある」と述べた。 家賃やホテルの宿泊代を含む住居費は前月比0.3%上昇し、前月比での上昇分の40%以上を占めた。10月は0.4%上昇だった。 食品は0.4%上昇。前月は0.2%上昇していた。鳥インフルエンザの発生により卵の価格が8.2%急騰した。 変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは、前年比3.3%上昇し、伸びは前月と同じだった。前月比では0.3%上昇した。 家賃は0.2%上昇と、2021年7月以来の小幅上昇となった。 帰属家賃(OER)は0.2%上昇した。これも21年4月以来の小幅上昇だった。10月は0.4%上昇していた。 インフレの主因となってきた家賃上昇ペースが鈍化したことは、物価見通しにとって良い兆しとなる。 CPIのデータからエコノミストが推定する11月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は、10月の前月比0.3%上昇に続き、11月は0.2%上昇となった。コアインフレ率は前年比2.9%上昇すると予想される。10月は2.8%上昇だった。 12日には卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)も発表を控え、これらの数字に影響を与える可能性があるとみられる。 CMEグループのフェドウォッチによると、金融市場は12月17─18日のFOMCでの0.25%ポイント利下げをほぼ完全に織り込んでいる。CPI発表前は約86%だった。 バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズのエコノミスト、スティーブン・ジュノー氏は「ファンダメンタルズの観点から、インフレの大幅な上昇リスクは見当たらない」と指摘。「とはいえ、関税、財政、移民政策の変更が予想されることから、インフレ鎮静化は来年は停滞するはずだ」と述べた。