日本ブラジル経済関係深化に期待高まる=EPA締結の加速なるか? 8年ぶり首相来伯が後押しに=ブラジル日本商工会議所の小寺勇輝会頭に聞く
去年2月から3月にかけて経団連からメルコスールに進出している日系企業に対するアンケート調査によると、93%の企業がEPAの必要性を「非常に必要性を感じる」もしくは「ある程度必要性を感じる」を答えている。 メルコスールの2019年の名目国内総生産(GDP)は約4・6兆ドルで、世界で5位の経済圏となっている。中でもブラジルは最多の人口約2億人、GDPは約2兆ドルであり、小寺氏は「日本にとっては近くのASEAN(東南アジア諸国連合)も大事だが、メルコスールはマーケットとしても十分に大きい」と指摘する。
今年から来年にかけてタイムリーな時期
去年の4月にリオで開かれた日伯経済賢人会議でEPA締結について話題に上がり、両国首脳に報告書を提出している。今年は2024年の早期課題をEPAの早期締結だとして、再び両国の首脳に送られている。さらに、去年の11月に経団連が主催したシンポジウムでは、在日本メルコスール加盟4カ国の大使が参加して、EPAの早期締結の必要性に対する提言書をまとめて岸田首相に提出している。 このような背景から、今年の1月にブラジル大統領のルーラ氏と行われた電話首脳会談で自由貿易協定が取り上げられたことに続き、今回の岸田首相のブラジルの外遊は、今年の何らかの動きに対する予兆かもしれない。小寺氏は今年開催されるG20と来年迎える日伯外交樹立130年を挙げ、「今年から来年にかけてとてもタイムリーな行事がある。ここで何か動くかもしれない」と期待を大きく高めている。